第98話 いざ職場体験 ページ9
．
職場体験、当日。
私達はある駅に集まり、各事務所への移動を目前にしていた。
制服が目立ってすれ違う一般客にちらほら二度見されるのがなんだか恥ずかしい。その恥ずかしさを紛らわすように隣にいたお茶子ちゃんに話しかけた。
出久はまたその隣にいて、飯田君は…端の方で
「が、頑張ってね」
「少しでも強くなってくる!Aちゃんは学校でだよね。お互い頑張ろうね!!」
溢れる花が舞う背景が幻覚で見えそうなほどの破壊力で彼女は笑った。癒し。
「いず………っ!」
出久の様子は…と少し体を動かすと、お茶子ちゃんの反対隣に並んでいたかっちゃんが空いていた私の手を取った。
「かっちゃ…」
手、っていうか、小指を、強く摘まれている感じ。
指先の小さな爪を優しく撫でられて出る声も出なくなってしまう。彼はそんな反応を楽しんでいるようだった。自然と声が出なくなり、心臓の音が鼓膜に響いてうるさくて堪らない。
「八木」
その時後ろから名前を呼んだのは轟君だった。少し肩をずらして振り返る。
公共の場である駅で、私達はまとまっているので隣の人と肩が触れ合っていても変じゃなくて。かっちゃんはそれを利用して、触れた手を前に出して轟君の死角に動かした。
このまま喋れってか。
なんなの今どきの高校生こんなこと出来るの。
「1週間雄英にいるんだって聞いた」
「う、うん、少し珍しい個性だからって理由で…その、急に何処かの事務所にお世話になるのは、危ないかもしれない、って、話になって…」
って、予め校長先生と口裏は合わせてあった。
ふたりで話し合った通りの設定をなんとか説明する間もかっちゃんは爪を撫でて止めないので、疲労。
「そうか。何かあったら連絡しろよ」
真顔で気遣ってくれる彼に微笑む。
「それは私の台詞だよ。かっちゃんも、お茶子ちゃんも出久も轟君も、飯田君も!皆も、何かあったら連絡してね。私がすぐ飛んでくから」
そう言うと、かっちゃんはやっと爪を撫でるのを止めてくれて、A組の皆は私を見て同じように微笑んだ。
「おう」
「りょー!」
「よっ、自称
「お互い様にな」
それだけで、ざわつく心臓が少しでも落ち着く気がして何処か安心する。
おばさんみたいに(あくまでも�爐澆燭い豊�)じーんと皆の温かさに浸っていると相澤先生が話し始めた。
そして、皆がコスチュームを持ったのを確認してから流れるように出発を言い渡した。
いざ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1458人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
しろこ(プロフ) - 夏終朝凪さん» こんばんは。コメントありがとうございます。めちゃくちゃ嬉しいです…。今はこの作品と同時に更新している作品の方にいい感じの波が来ていてそちらに力を入れていますのでぜひそちらも！｢転生、そして不老不死。｣の更新も忘れた訳では無いので次の更新お楽しみに！ (2020年2月7日 0時) (
レス) id: ad3f1db81f (このIDを非表示/違反報告)
夏終朝凪(プロフ) - 続きがすごく楽しみです！とても面白いです！これからも更新頑張ってください！楽しみにしてます(*´▽｀*) (2020年2月6日 19時) (レス) id: 8142368f1e (このIDを非表示/違反報告)
しろこ(プロフ) - 桃色さん» ここまで読んでコメントまでありがとうございます(´ｰ｀)すっっっっっごく嬉しいです:-)これからも不定期にはなりますが楽しんで更新していこうと思うのでよろしくお願いします:-) (2019年6月20日 18時) (レス) id: ad3f1db81f (このIDを非表示/違反報告)
桃色 - ほう続きがスッゴい気になります!!更新全裸待機です! (2019年6月18日 23時) (レス) id: 31c03fdbb7 (このIDを非表示/違反報告)
しろこ(プロフ) - まめでんきゅうさん» こんばんは！お返事遅くなってしまってごめんなさい！あたたかいコメントありがとうございますしらこです！( ´ｰ`)めちゃくちゃ嬉しいです…これからも頑張ります( ´ｰ`) (2019年4月22日 22時) (レス) id: c28038ff9f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：しろこ | 作成日時：2018年2月2日 15時
