大学生ゲーマー系彼氏とヲタク系彼女の日常。 (ページ10)

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ちょっと不機嫌な彼女。ページ10

研磨 side

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どことなく、Aがイライラしている気がする。

イライラ…というか、不機嫌というか。

Aがイライラする時は、面倒くさい研修がある時とか、聞きたくもない愚痴を聞かされた時とか。

でも、レポートはこの間大学に泊まり込みの徹夜で全部終わったって言ってたし、今日は愚痴がどうとかそういうのは聞いてない。

不機嫌な時は大体自分の部屋にいる。

けど、今日はリビングにいる。

これは、『話を聞いてほしい』っていうサインだ。

「……どうしたの？」

「…なんも」

「なにもない顔じゃない。…ん、カフェオレ」

「ありがと、…」

渡したカフェオレを少し飲んで、テーブルに置いた。

「……何かあった？レポート？」

「違う。それはこの間徹夜して終わった」

「じゃあ、食べたいお菓子、なかった？」

「違う。研磨は私をなんだと思ってるんだ」

「誰かの愚痴聞いた？」

「いや、今日はわりと平和だった」

おれに少しだけ体を預けて、ぼーっとしている。

……にしても、なんでだろう。

…あ、

「………もしかして、おれ、関係ある？」

「…まあ、そうだね」

「……ごめん、何したかわかんない」

そう答えると、隣からため息。

…なにかしたっけ。

そう考えようとした時、優しくAに抱きしめられた。

「……A、髪くすぐったい」

「黙って抱きしめられて」

耳と首に当たる、黒と赤茶色の髪の毛。

呼吸したり、少し動いたりする度にくすぐられる。

いつもより少し強めの力でしばらく抱きしめられた後、ゆっくり離れた。

その時に見えた顔は、満足気で。

「……ここ三日くらい大学で泊まり込みで調べてレポート書いてたから、ずっと研磨に触れられなくて寂しかったんだよなぁ…。

だから充電。研磨は何もしてないよ、ごめんね」

……なんか、すっごい暑い。

ぎゅーって心臓つかまれてる感じがする。

…すっごい、可愛い。

「……ごめん、もう一回していい？」

「…いいよ」

今度は、Aの背中に手を回して優しく抱きしめ返した。