大喧嘩。2 ページ26
夜百合 side
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……俺が、ここで大沼を襲うのは至極簡単だ。
所詮男子と女子。
バレーの際は力強いスパイクを打つその腕。
その腕を掴まれ、壁に押し付けられる。
そんな、俺が無理やり大沼を襲うような汚い獣だとわかった時。
彼女は、どんな目で俺を見るのだろうか。
「…じゃあ、こっち来いよ。暖めてやるから」
そうやって無防備に俺に近付いた大沼。
…そんな人を疑わずに近付くから孤爪はいっつも嫉妬してるんだぞ。
でも、一緒にゲームしたり笑ったりしたら、そんなこと気にならないほど幸せなんだと。
今もお前が好きな俺がそんな惚気を聞かされて、どんな気持ちなのか。
俺がお前を今、どれほど乱したいか。
お前は知ってるか?
ドサ、
「……なに、してんだよ、…」
「…ごめんな。マジでごめん。
俺のこと、許さなくていい。恨んでいいから。
…お前の体だけ、俺にちょうだい」
「ッ、!!?やめっ、」
俺がなにをしようとしているのかを察して、暴れ出した大沼。
手をそこら辺にあったロープで縛る。
叫ぼうとした口は片方の手で塞いだ。
ロープはまだあったけど、床にあったものを咥えるなんて嫌だろうから。
「んー、!!んん、…!!」
「おい夜百合、なにしてんだ!!!」
低くも高い声が廃工場の中で反響して俺の耳に届いた。
深海の周りには、羽生や黒尾さん、孤爪、…他にもニ、三人。
返信をしなかったから、不審に思ったのか?
………だとしたら、ありがたい。
このままだと、大沼を傷つけてしまったから。
「…まあ、未遂だったんだし気にすんなって。
私の口もそこにあったロープを噛ませりゃ良かったのに、しなかった。
落ちてるロープを噛ませるのはさすがに嫌だろうから、っつーことだろ?」
「…A。だとしても襲われかけたんだぞ。
もうちょっと喚いても…、」
「まあ、さすがに襲われた、とかなら喚くさ。
でも未遂だしさ、一瞬怖かったけど、お前の目見たら一発でわかった。
なんかに怯えてる目だったし、もうそろそろお前がハッキングして私の位置特定しそうだし。
だから、どんなに長く見積もっても襲う前には着くだろうし、もしくは私を傷つけることを恐れてやめる。
……まあ、ただの喧嘩がここまで大事になるとは思ってなかったけど」
俺自身ですら気づかなかった本心。
それを襲われかけている時に、俺の目を見てわかったのか?
…大沼ってやっぱすげぇなぁ…。
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海石榴《ツバキ》(プロフ) - 今更感すごいですが、完結しましたね。お疲れ様でした!今日読んで今日ハマって今日読み終わりました!とても面白かったです! (2019年12月23日 23時) (レス) id: 906a0c9fbd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:スアール | 作成日時:2019年1月7日 11時