初恋 ページ3
しばらくAと連絡を取ることはなかった
俺は音楽と漫才で精一杯やったし、Aも仕事が忙しいって聞いた
それやったのに、1年前
『…やほ』
「………え？」
Aがスタッフの格好して劇場におった
「…え、なんで……」
…まさか、俺に会いたくて……？
『あー…雑誌記者って…あんま楽しくないんよ。すーママに会いに行ったら、劇場はどう？って。今ちょうどスタッフ募集しとってさ』
「あー……」
…やんな。
俺に会いたいとか…そんなんあるわけないよな笑
でも、
「…めっちゃ嬉しい。久しぶりやな」
『せやな……じゃ、仕事あるから』
「お、おう」
『…頑張ってな、ステージ』
「あ、待って！」
＿＿
あのとき、必死でAを引き止めたっけ……
『はぁ……』
Aが深くため息をつく
山「…不思議に思わんかったんか」
「……」
『キスもデートもそれ以上もないカップルって…私ら何歳やねん』
「…恥ずかしいんかと思った」
山「「『…………』」」
「…ごめん、A」
『…え』
「…今日の夜、やっぱやめよ」
『すー…』
なにか言いかけたAを無視して、その場を離れた
＿＿＿＿＿＿
「…はぁ……恥ずすぎる…」
山「……」
「…俺あほやん……」
恥ずかしいからって…さすがにおかしいって思うやろ
山「…いつから好きなん？」
「…ずっと。幼稚園入る前から」
山「…」
「…俺の初恋」
山「…でも、彼女おったよな」
「おったけど…Aが彼女やったらええなっていつも思っとった」
今までの彼女に何回もAを重ねた
でもあかんかった
だってそれは…Aやないんやもん
山「…別に、今からでもええやん」
「…え」
山「ちゃんと告白して、今から付き合えばええやん」
「……」
山「なにをびびっとん？もうこれ以上恥ずいことないやろ」
…確かに
「…ありがとう、ちょっと行ってくる」
山「おー」
Aを探して、劇場じゅうを走りまわった
「……はぁ……」
…おらん
…もう帰ったとか？
…いや、まだAの勤務時間内のはず
どっかで入れ違ったんか？
自販機の横のベンチに座る
『…どれ？すー』
「…えっ」
会いたすぎて幻聴…？
『…なぁ、』
「っ！」
…幻聴やない……
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作者名：まなか | 作成日時：2020年5月9日 11時
