末澤専用セコム。【男主】 (ページ8)

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誠也くんの友達ページ8

side you

末｢んじゃ俺行ってくるからAもちゃんと学校行きよ？｣

『おん！行ってらっしゃい誠也兄ちゃん！！』

玄関のドアが閉まったんを確認して
急いで着ていた制服を脱ぎ、愛用のパーカーを着る。

そして昨日の夜から用意しておいた荷物を持ってそっと家から出る。

よし、誠也兄ちゃんはおらんな。

実は今日、誠也兄ちゃんに内緒で仕事現場に行く事にした。

目的は勿論『誠也兄ちゃんの恋人がどんな奴か』

誠也兄ちゃんに恋人とか俺が認めん奴はすぐ別れさせたる…。

そう決意を固めた俺は事前に学校に風邪だと連絡しておいた。
人生初のズル休みに少しドキドキする。

行き先は俺も何度か行った事あるスタジオ。

好都合や。
誠也兄ちゃんの恋人をどんな奴か確かめたる。

そう決意し、通勤ラッシュの電車に乗った。

…とは言うたものの。

『…ここ何処やねん！！』

迷ってなんかない。電車乗っただけやもん。

道がわからんだけやし、迷ってない。(2回目)

諦めて帰ろう思ても帰り道分からへん。
意味わからんし。

…もう2度と誠也兄ちゃんに会えへんままここで死ぬんやろか。

そう考えると自然と目に涙が溜まる。
嫌やなぁ、もっと誠也兄ちゃんにひっついとったら良かった。

軽く頭の中で走馬灯を考えていたら

？｢…あれ。
そこの僕、どないしたん？迷子？｣

と、誰かに声を掛けられた。

『だ、誰やねん。』

？｢うわ、やっぱ知り合いに顔めっちゃ似とるわー。て、今関係ないな。

僕いま迷子なん？｣

本当の事を言われ、堪えていたモノが溢れた。

『ま、迷子ちゃうよっ…。迷子ちゃうもん…。

俺はただ、兄ちゃんの所行きたかっただけや…っ。

〜〜誠也兄ちゃんんーっ…！！学校勝手に休んでごめんなざいいー！！』

いい歳して迷子という事が情けなくて涙が零れていった。

すると話しかけてきた男の人は少し考えた素振りをして

？｢…俺が兄ちゃんの所、連れてったるわ！｣

と言った。

『ほんまに…？』

？｢おう！任せとき！！やからもう泣き止みや？
男が泣いたアカンやろ？｣

『っ…お、おん！！』

涙を拭き取りティッシュで鼻をかんだら気持ちも落ち着いてきた。

？｢ほな行こ！｣

｢知らない人について行くな。｣

と言われていたけどその事は忘れ、
誠也兄ちゃんに会える事の楽しみだけを考えていた。