金タクルの近況 ページ10
勝たなくていい
人一倍プライドが高い彼からそんな言葉が聞ける日が来るとは思わなかった。
不思議と肩の力も抜けて今となっては胸いっぱいに広がる薔薇の香りを楽しむ余裕さえでてきた。
久しぶりのデートという言葉に足取りが軽くなる。不思議と彼の調子もいいように見えた。
デートコースに居たサバイバーは既に二人飛んでおり引き分けは確定。暗号機は残り一台でほぼ勝利は確定しているようなものだった。
「どうします？」
このまま遊ぶか、と問いかけてくる彼。落ち着いた態度とは裏腹に目は滾っており「吊りたい」と訴えているのがよく伝わってくる。
「圧力を掛けてこうか」
ちょうど手頃な距離の解読機が揺れている。進捗は7割ぐらいだろうか、大きく振りかぶり霧を飛ばす。
よし！！！！！！！！！！当たっっった！！！！！
「よくやりました！」
霧で加速し確実に仕留める。
残り1人だと周りを見回すとおそらく新規であろう解読機が揺れ始めているのが見えた。
あっちにはハッチもあったはずだ。今ダウンした人は確か4割で救助されたはず。少し稼がれるだけでハッチが開いてしまうかもしれない。
ぐるぐると思考をめぐらせていると隣から大きなため息が聞こえた。
なんだよもう
「せっかくのデートで私を棒立ちにさせるとか何様なんです？」
は？
「私には霧も本体もありますし透明化だって出来ます。」
「もう少し信用してくれてもいいじゃないですか。勝ちは確定してますし今まで何人のハッチ前待機を阻止してきたと思うんです。 」
さっさと椅子に縛りハッチの方へ歩き出し監視者を叩きつける。壁を壊しダメージを入れハッチから遠くなるように意識して…倒す！
苦しそうな声が響き投降された。
「！！！！！」
リザルト画面に浮かぶ久しぶりに目にした完全勝利の文字
バッと顔を上げるとくつくつと笑う金のテンタクル。
「なかなか良かったんじゃないですか」
手を取り居館までエスコートをしてくれる彼。
…少しだけ、ほんの少しだけ欲張りたいと思ってしまった。
足に力を入れ彼を止める。不思議そうに向き直る彼の胸に飛び込んでみた。
「全く、……」
こういうのには慣れないのだろう。口数が一気に減った金のテンタクルがどうしようもなく可愛く思えてしまう。
不可解そうに見えるけどその両手はしっかりと私を支えてくれていて…帰るまで、とても心地いい時間を過ごすことが出来たと思う。
また頑張ってみよう。
ネクロマンサー様の初試合→←金タクルの近況.*･金タクルside･*.
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灰色のもふもふ(プロフ) - 匿名さん» コメントありがとうございます。いい試合が出来次第あげてこうと思っております！楽しみにしててください(*´ｰ`) (2020年5月18日 0時) (
レス) id: 268e903cb0 (このIDを非表示/違反報告)
匿名 - 更新を楽しみにしながら毎日読み返してます...好きです...気が向いたら無常との絡みもぜひお願いします... (2020年5月12日 17時) (レス) id: 776fdad7d6 (このIDを非表示/違反報告)
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