133. ケンチャナ ページ33
気づけば私は、東京の街をキュヒョンに手を引かれて歩いていた
キュヒョンは道を知っているわけじゃない
でも強張っている私よりもずっと頼もしく、ずんずん歩いて行く
大通りから路地裏に入り、また少し歩いたところで彼は足を止めた
「A、ケンチャナ?」
「うん…ビックリしちゃった。まさか気づかれそうになるなんて…」
そこまで言って、世界的に活躍しているキュヒョンを目の前に、失礼な言葉だったかなと思って口をつぐんだ
私が考えている以上に、日本にもファンがいて、知っている人がいるんだー
「俺もビックリした。日本に来た時は、いつも変装しないで歩けるのに」
「えっ?そうなの?」
「うん、全然気づかれないよ」
本当かなぁ…
飄々と話すキュヒョンに、私は少し首を傾げたくなる
「でも、こういうのは慣れてるから。だってみんな、最初は半信半疑でしょ?まさかこんなところ歩いてるとは思わないし」
「まぁ…そうかも」
「だからこうやって、さっといなくなっちゃえば…ね」
不意にイタズラっぽい微笑みを見せられて、ドキッとする
私は気づかれないように視線を逸らした
一緒に過ごす時間が少しずつ当たり前だと思えていたのに、あっという間に振り出しに戻されてしまう
キュヒョンはどうなんだろう
私なんかに、ドキッとすること…あるのかな?
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作者名:Aoi Sakura | 作成日時:2017年4月17日 8時