103. 一緒に? ページ3
「ちょっと待ってて」
「うん…」
「……ああ、やっぱり!」
「?」
電話の向こう、やけに嬉しそうなキュヒョンの声が遠くに聞こえる
「俺も…一緒に日本に行ってもいい?」
「…えっ?」
「旧正月明けに、日本でライブがあるから」
「え、えっと…」
一緒に、日本へ?
ファンなら知っているはずのキュヒョンのスケジュールは、把握できていなくて
急な話に混乱していると、
「ごめん、呼ばれたから行くね。詳しくはまた今度」
「うん、分かった」
「A、サランへ〜」
キュヒョンはそう言って、私の言葉を待たずに電話を切った
最後の一言にしばしドキドキしつつ、一緒に日本へ行けることを、まるで他人事のように考えた
よく考えたら、去年のクリスマスからキュヒョンに会えていない
もっぱらメールと電話でやりとりを重ねているだけで、彼との関係性には現実味がないとよく感じていた
でもそれを口に出すことはキュヒョンにとっては重荷になるし、彼というスーパーアイドルと付き合うということはそういうことなのだと、自分に言い聞かせる日々
だから一緒に日本へ行けると言われても、それはふわふわした形のない夢の話みたいで…
私は電話を切った後のスマホを両手で弄びながら少し考えて、キュヒョンにメールを送った
“今度、いつ会える?”
ただ聞いているようで、実は甘えているのだということに気づいてくれるだろうか
一緒に日本へ行けるという前に、ほんの少しの時間だけでも、会ってくれるだろうか
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作者名:Aoi Sakura | 作成日時:2017年4月17日 8時