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その頃、楽屋に着いたオレは置いてあった衣装に着替えていた。
楽屋には既に玉森と渉がいた。
その静かな雰囲気が何とも居心地が悪く、宏光が来る前に着替えてしまおうと思い、着ていた衣服をいつも通り順に脱いでいると、いつも通りの高さの声が聞こえてきた。
「ガヤ背中、彼女出来たの?」
それは玉森だった。
その声に振り向く。玉森の漆黒な瞳と視線がぶつかり合う。・・・なんで?何が・・・?瞬時に背中の爪痕を思い出す。昨晩の情事。
急なことで内心ビクッとしたけど、それを隠すように振る舞った。
「ああ…うん、まぁ。」
「おめでと。でもそんな痕つけるなんてアイドルの彼女失格じゃん」
返事をすると笑ってタマはそう言った。
「失格…なんかじゃねぇよ?オレがつけて欲しかったんだから」
本当にそう思っていた。アイドルの前にただただ恋人を大切にするいち人間で。
そんなのアイドル失格だと言われればそれは否定出来ないけど、否定出来なくても良かった。それほど宏光が大切で。
そう返すととタマはわかんねぇなと呟いた。
「とりあえず、彼女紹介してよね。そこまでガヤを虜にする奴見てみたいわ」
玉森のその言葉に何も返せなかった。
「でもさ、何で女って痕つけたがるんだろうなー。オレも昨日寝てる間にコレつけられててさ。最悪」
玉森はシャツを捲り、ヘソ辺りにあるキスマークを指した。
「それ・・・・・」
「相手してやったのに、アイツはもう終わりだわ」
それを見て呆然としてると、玉森は何か思い出すようにそう吐き捨てた。
タマが自分に重なる気がした。過去の自分に・・・・・
タマが宏光と離れて大丈夫な訳がなかったのかもしれない。
寂しさを埋めるために誰かに縋るんだけど、それを埋めてくれる人はいない。
埋めてくれる人はただ一人だけ。
タマもそうなのだろうか。
「自由って楽だし、楽しいな」
それとも、宏光のことは本当にもう吹っ切れたのだろか。嫌いになったのか。
とにかくこんな玉森を見たのは初めてだった。
罪悪感でいっぱいになる。だけど絶対にもう宏光を渡すなんて出来なかった。
宏光の甘さを知った以上・・・
失うことはできない。
(ごめん…タマ・・)
渉は何も言わずそのやり取りをただただ聞いていた。
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もも(プロフ) - スケベ面さん» スケベ面さん はじめまして!お話読んでくださりありがとうございます!中編が見えないのですね<(_ _)>すみません、フラグを立てていますので年齢の関係かと思われます。大変大変申し訳ございません(><) (2018年7月11日 6時) (レス) id: 5b51068866 (このIDを非表示/違反報告)
スケベ面(プロフ) - 前編を読ませていただきましたっ切なくて続きが見たいのですが作者様の全作品を見させていただいたのですが前編後編しかありません(><) (2018年7月10日 8時) (レス) id: 909d98024f (このIDを非表示/違反報告)
もも(プロフ) - ふじみつさん» ふじみつさん 終わってしまいました(´・・`)本当にご覧頂きありがとうございます!ハラハラさせてすみません<(_ _)>疲れますよね!笑 こちらこそ幸せを感じて頂けて光栄です。本当にありがとうございました! (2018年6月3日 1時) (レス) id: 5b51068866 (このIDを非表示/違反報告)
ふじみつ(プロフ) - あ〜〜終わってしまいました。ずっと切なくてハラハラして。。藤北玉の3人の純情が苦しくて幸せを祈りながら読んでおりました。2人が幸せになれて本当に良かったです!こちらまで幸せになれました。ありがとうございました。次のお話しも楽しみにしております! (2018年6月2日 23時) (レス) id: c46653f4f4 (このIDを非表示/違反報告)
もも(プロフ) - ぶぃ〜さん» ぶぃ〜さん 久しぶりにリアルな二人をご覧頂いたんですね!恐縮です。ありがとうございます!お話に入り込んで頂けたなんて嬉しいです(/ω\)本当にこちらこそありがとうございました! (2018年6月2日 20時) (レス) id: 5b51068866 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:もも | 作成日時:2018年5月27日 14時