あさのおばけ【名前変換オリジナル】

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ーー岸視点ーー

『間もなく、みさき公園〜みさき公園〜』

「あ、俺ここだわ」

最寄り駅に着いた。ここで涼とはお別れだ。

まだ夏休みまで時間はあるけど、始まっちゃえばもうしばらくは会えなくなる。

俺の志望大学は９月に推薦試験がある。それまでに何としてでも英語を頑張らなきゃいけない。

「じゃ、またなー」

「じゃーなー！」

明後日でとりあえずラスト勤務だ。ただ涼とは被ってないから少し寂しい。普段はこんなこと口に出しては言えないけど。




「ただいまぁ〜」

玄関で靴を脱いでいると、遠くから「おかえり〜」と言う声が聞こえた。この野太い声は親父しかいない。

リビングに行くと、既に出来上がっている料理と、一冊の本があった。

「ん？あぁ、これか？会社の人から聞いたよ。これ書いたの、お前の学校にいるんだろ？」

親父は町の役場で働いている。この地域にはやたらと詳しいし、知り合いも多い。

俺の家は父子家庭だけど、給料がいいのか、やたらと大学に行け！と勧めてくる。お金はあるんだろうけど、それだけだと申し訳なくて、少しでも助けになれたらと、高１からバイトをしている。

お前読んだか？と、やたら『卒業』と書かれた本のページを嬉しそうにめくっている。

知らないわけねぇだろ。

もちろんそんなこと言えないし、涼との関係を話したりはしていない。

複雑な気持ちになりながらも、目の前のご飯に意識を向けた。

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