あさのおばけ【名前変換オリジナル】

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ーー西野視点ーー

『卒業』と大々的に書かれた本は、朝俺の机に置かれていた。

作者名を見て、一瞬でそのことを理解できた。

「何から卒業すんだよ。こんな夏に」

今日発売のこの本は、まだ持っている人はいない。

放課後買う！とか、欲しい！なんて言葉が飛び交っている。

持っているとしたら、書いた張本人くらいだろう。



「おっす」

「お、おはよー俊平ー」

俊平がきたということは、もうすぐHRの時間だ。

こいつはいつも時間ギリギリにしか来ないから。







「俊平、お前北川さんと何かあった？」

「・・・え、何で？」

まさか駅前の本屋で会うとは思ってなかった。

バイトまで時間があったから、大学の参考書などを見ようという話になったのだが、新刊コーナーに置いていた見覚えのある本に、反応せずにはいられなかった。そこでたまたま見かけたのが・・

あの人確かに本好きそうだけど、あいつの書いたやつを読んでたとは知らなかった。

「さっき、すっごい顔で北川さんのこと睨んでた」

「え、まじで？」

明らかに怖がってた！と笑いながらいうと、俊平はすこし申し訳なさそうに下を向いた。

「・・・そんな顔、他の奴の前ですんなよ？」

「・・え、何？どんな顔？」

「そんな悲しそうな顔されたら！！いじめたくなっちゃうでしょうがぁ！！」

「はぁ！？意味わからねぇ！」

優しくてちょっと鈍感。それがこいつのいい所であり惚れた所でもある。

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