愛され男子Hokuto.M

薬局 ページ10

樹Side









今日は少し早めに帰ることになった。


病棟の人の体調も良くて、救急に運ばれてくる人も少なかったからだ。


だからと言って、忙しくなかったわけではなくて。


今の時期は外来の方がえらいこっちゃになっている。


何でかって？


そう！


インフルエンザが猛威を振るっているからだ。


うちには、体の弱い大我や受験生の北斗なんかがいるから俺たちも体調管理に気を付けないといけない。


だから少しでもと思って家に入ったら、玄関入る前にコートとかを払って。


脱いで払えないものは、玄関入った先でリセッシュをかける。


そしてリビングの扉の前とそれぞれの個室にひとつずつ、空気清浄機が置いてある。


この徹底ぶりにびっくりする人もいるみたいだけど、ほんとにこんだけやっても毎年誰かがダウンするのが石音家なのである！


ほんと自慢じゃないけど、逆にすごいと思う。


今日だって、兄ちゃんが頭痛薬貰ってこいって言ったってことは誰か体調壊したってことでしょ？


もうアウトなんじゃない？


この時期だもん。


そんなことを思いながら、お薬の順番を待つ。


意外とすぐに回ってきて。


結構きつめの頭痛薬だから、薬剤師のおじちゃん先生に、先生、大丈夫ですかなんて聞かれちゃって。


何とかごまかしながら、無事に薬をいただいて。


帰り道電車に揺られながらふと思う。


こんなきつい薬誰が使うんだろうと考えてみる。


兄ちゃん、メールの文脈的に兄ちゃんが使うわけじゃなさそうだ。


大我は…
十分にありうるけどなるべく違うことを祈る。
また重症化したら大変だし。


北斗は受験対策で体が弱ってるからありそうだな。
でもあいつ中々体調崩さないしな？


ジェシーは去年は一番にもらって帰って来やがったっけ？


慎太郎はどんだけ周りが風邪ひいて弱ってってもいつも元気なイメージあるわ。


まあ、ほんとにたぶん大我、北斗、ジェシー当たりの誰かだろうな。


そういえば今日の朝、北斗様子おかしかったな。


本人は大丈夫って言ってたけど、やっぱ心配だわ。


大丈夫だといいけど…









俺の、この予感がまさか当たってたなんてこの時は思わなかった。

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