真実は重い ＊ ページ13
【ミヨンside】
.
Aちゃんは、何かに行き詰まっているように見えた。
だから誘ったんだけど。
お店に着いたときからずっと、お酒を飲む手が止まらない。
「Aちゃん？その辺にしとかない？」
私が誘っておいていうのもなんだけど、やんわりと制するように声をかける。
「ミヨンさん、私はね、腹を立ててるんですよ」
「うん？何に？」
「神様とかそういう類のものに」
「ん？ええ？」
「全く意地の悪い状況をつくって…私たちは見事に手の上で転がされてます」
ああ、どうしよう。
話の流れが全く分からない。
「でも…」
Aちゃんの顔が曇った。
今にも泣き出しそうな顔に見えて、少しだけ焦る。
「でもね…一番ムカつくのは私自身ですよ。ずるくて、欲張りで」
「Aちゃん…人ってそういうものなんじゃないかな」
自分の都合の良いようになればいいのにって思うときがある。
全部大切で、何も無くしたくなくて。
自分にとって良いものばかり、残しておけたらいいのに。
そんな風に考えていたら、二人組の男の人が声をかけてきた。
「お姉さん、美人ですねー！一緒に飲みませんかー？」
「こっちの子は結構飲んでるみたいだけど、可愛い顔してるね」
笑顔をつくりながら、心の中でため息を吐いた。
「いや、この子と2人で飲みたいので」
「そんなこと言わずにさぁ、一杯だけ付き合ってよ」
「ああ、もう帰るんでした。行こう、Aちゃん」
Aちゃんの腕を掴んだ私のその手の上に1人が手を置いた。
「待ってよ」
ぞわり、と鳥肌が立つ。
店員さんを呼ぼうと私が辺りを見回すと同時にAちゃんがその手を振り払った。
「さっきからうるさいなぁ。この汚い手どけてよ」
「は？なんだと」
「あのねえ！誰があんた達なんかと！私が好きなのはスンチョリオッパなの。分かる？世界一かっこいい人。ん？分かります？」
Aちゃんの声が大きくて、何事かと周りの客からも目を向けられる。
騒ぎに気付いた店員も駆け寄ってきた。
彼らは文句を言いながら、しぶしぶ引き下がる。
私もいたたまれなくなって、店員さんにお詫びをしてAちゃんを連れて店を出た。
" 私が好きなのはスンチョリオッパなの "
Aちゃんの言葉は、私の心に暗く重たい影をつくった。
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sani(プロフ) - ミヌさん» わあ、ありがとうございます（ ; ; ）嬉しいです！読んでくださり、ありがとうございました！！ (2021年4月9日 6時) (
レス) id: a75bf160ab (このIDを非表示/違反報告)
ミヌ(プロフ) - 感動しましたTT大好きです。 (2021年4月9日 4時) (レス) id: 8612cef835 (このIDを非表示/違反報告)
sani(プロフ) - まろにゅきさん» うわぁ〜なんて嬉しいお言葉！！ありがとうございます（ ; ; ）とっても嬉しいです！ああすれば良かったこうすれば良かった、と今になって思ったりもしますが、そう言っていただけて本当に良かったです(*^^*) (2020年6月25日 0時) (レス) id: e36f83df04 (このIDを非表示/違反報告)
まろにゅき(プロフ) - saniさんの小説はスッと入り込めて読みやすくて、綴られる言葉もすごく好きです(^^)私はスンチョルもウジくんも好きだからこのお話、ドキドキしました！ (2020年6月24日 18時) (携帯から) (レス) id: 36bf00294b (このIDを非表示/違反報告)
sani(プロフ) - ゆずさん» こコメントありがとうございます！文庫本無限とは！このお話は私なりに書くの楽しかったので、すごく嬉しいです(*^^*) (2018年9月30日 7時) (レス) id: f23e3c8ef3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：sani
| 作成日時：2018年6月22日 19時
