【2j3j】二年間眠っていた姫【愛され】4

寒月の元で ページ10

夜、それは暗く悲しい気持ちになる……
でも、誰かがそばにいるとホッとする時があるよね。

『……よし、今日のボイトレはここまでかな?』

その日はいつも通りボイトレをしてフッと窓の方を見ると綺麗な満月が浮かんでいた。

『(……あと数日で3Dお披露目…か)』

復活して数ヶ月経つがやっと、皆に更なる笑顔をあげることが出来る。

『……ちょっと、外に出ようかな?』

私は厚での羽織を肩にかけて家の庭先に出た。
寒さは思ったより寒く、出た瞬間身震いしてしまった。
それでも、冬の空を見上げると美しい星々が綺麗な満月と共に静かに輝いていた。

『(……綺麗だなぁ)』

雪ノ民の皆からしたら私達ライバーがこの星々と同じ位輝いていて、遠い存在なんだろうなぁ…。

そう思いながらボーッと星空を眺めていると後ろの方から腕が回ってきて私を抱きしめた。
顔を横に向けるとそこには景君が少しムスッとした顔をして私を見つめていた。

『……景君?どうしてここに?』
長「いや、少し様子見に来たんだよ…姉ちゃんが今日仕事で居ねぇから」
『そうなんだ……』

私はそれを聞いてまた星空の方に顔を向けた。
景君は何も言わずに私を抱きしめたまま同じく星空を眺めた。

……それからどれ位経っただろうか、景君が口を開いた。

長「あと、少しだな」
『……うん、そうだね』
長「………俺は、ずーっと、そばに居てやるからな」

私は、その言葉の意味が分かるからこそ、とても嬉しいが同時に悲しい気持ちになった。
だって…ずっとなんて無理でなんだから(・・・・・・・・・・・)。

『……うん、ありがとう景君…』

でも、私はそれに気づかないフリをする。


それこそが、今できる”答え”なのだから





3Dお披露目まであとーー日

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