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〜〜 叶 side 〜〜
葛葉の気持ちも分からなくはない。
【異世界渡り】してきた奴が魔法を持つこともあるし…それで悪の道に走る者もいる。
……だとしても、この子がそれに走るとは思えない。
叶「葛葉、心配はわかるよ?
でもね…僕はこの子は大丈夫だって思えるの、僕のカンを……信じてくれない?」
僕は、真っ直ぐ葛葉を見つめた。
葛葉は少し顔を歪めたと思うと剣を下におろした。
葛「……そいつが変な動きをしたら容赦なく切り刻むからな」
そう不貞腐れたように呟くとコウモリになって散っていった。
叶「……ありがとう、葛葉」
僕は、Aちゃんを抱え直して再び城へと向かった。
叶「(もうすぐだからね、だから…待ってて!!)」
〜〜 叶 side終 〜〜
〜〜 You side 〜〜
私は、確か……何故か気絶したんだっけ……。
『(……そうだ、叶さんと葛葉が話してて…それで…何故か意識が遠のいたんだ)』
徐々に意識が覚醒し始めたのか、ふわふわとした感覚と何か優しい香りに包まれてるのに気が付いた。
『(……なんか、優しい香りがする…気がする)』
ゆっくりと目を開けると暖かな色の天井が見えた。
『……ここ、は……?』
何故かダルい体を起こすとそこは何処かの部屋だと分かった。
周りを見てると扉がガチャっと音をたてて開いた。
そちらの方を向くとお盆を持った叶さんが入ってきて、私を見るとほっとした表情をした。
叶「よかったぁ〜、気がついたんだね?」
『叶さん……あの、此処は…??』
叶「あー、此処は僕達の城の客室の1つだよ」
そう言いながら叶さんはこちらに来てサイドテーブルにお盆を置くと私の額に手を添えた。
叶「うーん……熱は、まだあるみたいだね」
『ね、つ?』
そうか…だから、体が重いのか……。
叶「取り合えず、はい、これ食べれる…?」
そう言って差し出してきたのはおかゆのような物だった。
『これは……?』
叶「こっちではポピュラーな食べ物だよ。
熱が出た時とかに食べるんだぁ〜…美味しいからどうぞ?」
『……いただきます』
お盆を受け取って、スプーンを持ち、ボウルの中身をすくい口に入れるとふわりと優しい味が広がった。
『……‼、美味しい』
私がボソッと言うと叶さんは嬉しそうに頬を緩めた。

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雪鈴(プロフ) - 咲さん» ありがとうございます!!裏の方では俺って言って欲しいなって欲望が出てしまった…直しておきます! (2021年7月21日 21時) (レス) id: de383840ec (このIDを非表示/違反報告)
咲 - 設定がとても面白くて,一気に読んでしまいました!素敵な作品をありがとう御座います!後,細かくて失礼なのですが,甲斐田さんと弦月さんは一人称僕ですよ,,,! (2021年7月21日 15時) (レス) id: 7988901400 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:雪鈴 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/kinok/
作成日時:2021年2月2日 12時