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現在、私は苛々していた。
 どのくらいかと言えば、一度気を抜いてしまうと貧乏揺すりと奇声を同時に発生させてしまいそうなぐらいだ。それをどうにかして抑え込むために、私は机に突っ伏している____というわけである。
 胃の中に溜め込んだストレスを丸ごと吐き出すように、自分でも驚きな低い声を漏らす。

「初対面の人にブスって言われる筋合いはない……」
「……まぁ、あれは流石に同情するぜ」

 無様な私の姿を横から見下ろすのは、苦い笑みを浮かべた学ラン姿の幽霊、雨地。それに私は内心で「うるせぇイケメン」と毒づく。元から顔立ちが整っている人間には、この苦しみは一生かかっても分からないだろう。

 _____あの後、男はさっさとその場を立ち去っていき、すぐにその背中が見えなくなった。私と言えば言われた言葉が受け入れられず石のように固まっていて。周囲には雨の音のみしか残らず。微かに聞こえた学校のチャイムで、やっと意識が現実に戻ったのである。
 いつかのようにゾンビになりながら教室に飛び込み、周囲から異様な視線を受けながらも、机まで向かう。そこで力が尽き、倒れた。
 一緒に雨地もズカズカと入ったが、やはりというか残念というか、誰も彼に気づいた様子はない。

 何もなかったかのようにHRが始まり、そして何もなく終わる。学ラン姿の男がこうして私の目の前に立っているのに、騒乱も何事も起きないまま過ぎていく様は、もはや滑稽物である。
 HRが終わった後も、私の頭の中はあの男への批判で占めていた。

「何なんだよあの野郎クソヤロー……」
「こうなると、嫌にでも自分が幽霊だという事を受け入れざるを得ないな。こうも無視され続けるのも初めてかもしれん。記憶はないがな」

 恨みは膨らむばかりの中、雨地はとうとう私を無視し始め、若干天然染みた事を言い始めた。対応が面倒臭くなるのも無理もない。自分でもそう思う。

 そんな私に、一つの影が差した。影に気づいた私は、ゆるゆると机から顔を上げる。雨地もそちらの方に目を向けた。
 影の主は、晴香だった。
 顔をほんのりと赤くさせ、もじもじと腰をくねらすという、典型的な恋する乙女がやるような行為をしながら、だ。
 むしゃくしゃしているという事もあり、私は眉を寄せて不機嫌な表情を見せる。

「……どうしたの」
「あ、ああのね! ね、ねえA、き、聞いてくれる!?」
「まずは落ち着こう、聞いてやるから」

 彼女にしては例を見ない焦り様だった。

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設定タグ:オリジナル , 幽霊 , 学生   
作品ジャンル:恋愛, オリジナル作品
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燕*(プロフ) - ちくわのカルパッチョさん» コメントありがとうございます!あの時はリクにお答えして下さったこと、ご愛読やお気に入りまでして頂いて、心から感謝申し上げます…!お褒めの言葉、とても嬉しいです!これからも当作品を宜しくお願い致します! (2016年1月6日 2時) (レス) id: f04a1805d5 (このIDを非表示/違反報告)
ちくわのカルパッチョ(プロフ) - だいぶ前にイラストのリクを承った者ですが、それがきっかけとなりあの時からこの作品をお気に入り登録させていただいています。とても描写が綺麗で繊細でいつも引き込まれます。これからの展開が楽しみです^^ (2016年1月5日 23時) (レス) id: 5e0cf1c1a8 (このIDを非表示/違反報告)
燕*(プロフ) - 伝吉さん» コメントありがとうございます。紹介の件は大丈夫です。まだそこまでネタバレしてはいけない所まではいってもないので← イラスト、楽しみにしておりますね! (2016年1月4日 22時) (レス) id: f04a1805d5 (このIDを非表示/違反報告)
伝吉(プロフ) - 近日中にイラストを上げられそうなのでご報告にあがりました。そこで一つ提案なのですが、この小説を私の作品で紹介しても構いませんか?勿論、ネタバレしないように気を付けます。どうでしょうか? (2016年1月4日 21時) (レス) id: bc33d6f617 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 伝吉さん» うわああわざわざ読んで下さってありがとうございます!とても励みになります…。これからも日々精進して参ります! (2016年1月1日 0時) (レス) id: f04a1805d5 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2015年7月17日 1時

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