好きって言わせて。【オリジナルストーリー】【恋愛小説】【シスコン】

8話 ページ9

あのことから、一ヵ月がたった。
私は一人きりで登校していた。
お兄ちゃんたちには、特に何も言われなかった。
今日もバスに乗ると、音也君が三つ先の停留所で現れた。

そして、私の方に来た。
ここ最近、音也君とはバスでもよく話すようになった。

「おはよう、音也君」

「蘭音ちゃんおはよ〜」

いつも通りの爽やかスマイルで現れた。
今にいうことではないのだが、彼のこの表情を見るだけで胸が締め付けられる。

(はぁ、好きだぁ…)

「そういや、来週から夏休みだね。蘭音ちゃんはなんか予定あるの？」

「特にないかなぁ。普段は毎年お兄ちゃんたちと出かけたりするんだけど、今年は難しそう」

一緒によく出かけている、毎年強制的に。
今年はあの様子から無理そうだが。

「お兄さん達受験生だしね。お兄さん達、やっぱ大学はいいとこいくの？」

(そういう理由じゃなかったんだけど…まあそう思ってくれてラッキーか)


「多分そう？」

「お兄さん達頭良くてイケメンって有名だもんね。いいとこ受かりそう」

「そうだねぇ」

(お兄ちゃんたちの話は今あまりしたくない…話題転換できないかなぁ)

そう思いながら顔を見ると、首のあたりに赤い跡がついていた。

(キスマーク！？って、そんな訳ないか)

「首、痒くない？」

「え、」

音也君は蚊に刺されを慌てて手で押さえた。

「蚊にさされてるよ、ムヒ貸そうか？」

「あ、ああ。本当だ。ムヒは大丈夫だよ。得意じゃないんだ」

どこかぎこちない雰囲気が流れる。

(ムヒ苦手なのか。この時期大変そう)

私は少し音也君に同情した。

(それにしても、夏休みどうしよう。暇だし…音也君誘ってみようかな)

「音也君！」

「なに？」

「夏休み、どっかいきませんか…！」

音也君は少し驚いたような顔をした後、笑顔になって

「うん！遊ぼう」

と承諾してくれた。

(やったぁ！夏休み一緒に遊べるのか！もっと距離も縮まりそう)

夏休みが何十倍も楽しみになった。



「その時にさ、言いたいことがあるんだけどいい？」


「え、うん。いいよ」

予想外の発言により、一瞬思考停止してしまう。

(言いたいことって何だろう！もしかして告白とか。まさかの夏休みに彼氏誕生！？)

期待したくなるような音也君の発言により、胸が高まっていく。
また、音也君の頬を赤らめるた表情はとてもかっこよくて可愛くて、心のアルバムに収めざるを得なかった。

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