白のリコリスが咲く8【Harry potter】 (ページ11)

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ドラコの〝磔の呪い〟の的となったAはネビルと数人のグリフィンドールの上級生に支えてもらいながら教室を出て、中庭でそのうちの1人のラベンダー・ブラウンに『エピスキー』を唱えてもらった。

「本当に医務室に行かなくて良いの？」

礼を言いながらAは首を横に振った。

「新学期に入ってまだ数日なのに医務室は怪我をした生徒達で溢れてるもの。自分で調合した治療薬を常備しているし、それで何とかなるわ」

「__君すっごくタフだな」

シェーマス・フィネガンが感心した様な声を出した。

ハーマイオニーに次ぐ、もしくは同等の、あるいはそれ以上の知識と実践力を持ち合わせた1学年下の首席の女子生徒に尊敬の眼差しを彼等は向けた。

「___黙っていてごめんなさい。私が〝半人狼〟だってこと」

一番はネビルに向けての言葉だったが、それは同じ様にしてこの学校に在籍する彼等に向けての言葉でもあった。

だが、皆一切不快な表情は見せなかった。

「僕は勇敢で優しい〝人狼の先生〟を知ってるよ」

「しかも、とってもセンスがあってイカしてた。彼の授業は今までの中で一番最高だった」

ネビルやシェーマスの言葉が誰を指しているのかすぐに解った。

リーマスだ。

Aが思わず顔を上げて眼を潤ませると、パーバティ・パチルがそっと肩を抱いてくれた。

彼女は昨年末双子の姉妹のパドマ・パチルと共に両親に家へと連れて帰られてしまったが今年度はなんとか、復学したのだ。

レイブンクロー生のパドマとそっくりな優しい微笑みを見せて口を開いた。

「パドマが言っていたわ。貴方はとっても勇敢で立派な魔女だって。誰かの為に動けるのはそう簡単な事じゃない__それでも、貴方はやってみせてくれた。何度もね。それを気付かせてくれた貴方に通っている〝血〟がどうとか、それによって態度を変えるとか、ナンセンスよ」

「パーバティの言う通りよ。〝純血〟か、〝混血〟か、〝マグル〟か__そうやって分類して隔てている可笑しな今と同じ様に、貴方がそうかそうじゃないかで貴方自身の評価を変える事は可笑しいもの。だって、貴方は、私よりも、ここに居るみんなよりも、知っている事や出来ることがたくさんあるもの」

そう言いながら『自分で治療薬を作って常備なんか出来ないわ』とラベンダーが微笑んだ。

「___ありがとう」

不安がっていたリーマスに、彼等の声を届けたいと思う程、暖かな気持ちがAを柔らかく包んでくれた。