白のリコリスが咲く【Harry potter】 (ページ7)

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ロキ・グレイディ___リーマス・ルーピンは彼女のことを片時も忘れたことは無かった。

彼女がこの世を去ってしまった後、グレイディ家の名を継ぐ血が絶たれ、魔法界から純血の名家がまた一つ消えてしまったと世間も騒いだ。

また、父親同様に魔法薬師としてとても優秀だったことから___彼女の死を悲しむ者は本当に多く居た。

あれから何年経っても、リーマスは自分の周りが色褪せたままだった。

愛する人も、かつて学生時代を共にした友人達はもう居ない___生きている友人でさえも、裏切り者であり、アズカバンに収容されている。

マグルの病院に入院していた母親は、数年前についに息を引き取ってしまった。

後を追う様にして、昨年__父親がこの世を去った。

仕事だって、上手くは続かない。

ヴォルデモートの暗黒の時代程の就職難でないにしろ、〝人狼〟に理解を示してくれる者も少なく、リーマスの正体がわかってしまえば掌を翻す者の方が多かった。その職を去らねばならないことが続き、生活も安定しない。

そんな時、１つのニュースがリーマスに〝一筋の光〟を与えた。

＿＿＿＿

ダモクレス・ベルビィ
マーリン勲章授与

ベルビィ氏は、十数年の研究を重ね、〝人狼化〟に有効的な〝脱狼薬〟を開発した。〝脱狼薬〟は満月の1週間前から規定の量を飲む事で、満月の夜に〝人狼〟となった時でも彼らの理性を保つことが出来る。

何年もの間、改良や臨床試験を繰り返し完成した裏には、かつて、ベルビィ氏と肩を並べる程の実力者だった今は亡きアーチー・グレイディ氏、その娘のロキ・グレイディの協力があってのものであった。
『彼らがいなければ、ここまで成し得なかった』とベルビィ氏は2人を惜しむ様に静かに話した。
魔法省は、以上2名に対してもマーリン勲章を授与することを決定し____

日刊預言者新聞に連なっていた、ロキと、彼女の父親の名前にリーマスは震えが止まらなかった。

『いつでも味方よ』

彼女に、そう言われている気がした。

それから間も無い頃に、突如セブルスから便りが来た。

『8月5日午後5時、漏れ鍋で話がある』

簡単に書かれた手紙に、返事を返し、当日を迎え漏れ鍋で落ち合うと、彼は少女を連れてきた。

少女から名前を告げられた時、リーマスは耳を疑った。

『A・グレイディです』

ロキと同じ姓を語る彼女は、ロキの面影を残した顔付きで困惑の表情を見せていた。

髪は、自分と同じ鳶色だった。