白のリコリスが咲く【Harry potter】 (ページ17)

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ドラコが来るまではAの膝の上で心地良さそうに撫でられていた黒猫の〝クレヴァ〟は飼い主が見知らぬ人と喋り出したのが心地悪かったのか__「ニャア」と一声鳴くと、スルリとコンパートメントから出て行ってしまった。

「グレイディ家といえば、純血一族だったはずだ__血が絶えたと聞いたことがあったけど、君はそこの血縁関係なのか？」

「__私、お母さんと生き別れてから孤児院育ったの___自分が魔女だと言うことは最近知ったばかりだから、よく解っていないけどグレイディ家の生き残りだと聞いているわ」

魔法界のことはほとんど何も解っていないと言う事を伝えると、ドラコは驚いた様だった。

「__まあ、君の父親がどちらにしろ、グレイディは有名な名家だったみたいだし___僕が君にホグワーツの勉強や魔法界のことを教えてやってもいい」

「いいの？ありがとう__」

ドラコはホグワーツの2年生だと言っていた。

頼れる存在がいることはAにとってはとても安心出来たし、素直に嬉しかった。

「あ、あぁ____」

笑顔でお礼を告げると何故だか彼は頬をほんのり赤く染めた。

ホグワーツ特急が進んでいる間、ほとんどドラコが話をしてくれた。大半は、マルフォイ家がどれだけ素晴らしい一族なのかと言うことと、〝純血〟の重要性だった。彼は〝マグル生まれ〟をあまりよく思っていない様だった___あとは、だいたいがハリー・ポッターの話だった。

「あのお偉いポッターめ__いいか、A、君がどこの寮に入るにしろ友達は選んだ方がいい。アイツは〝穢れた血〟と〝血を裏切る者〟といつもつるんでるんだ__」

どうやら、〝マグル生まれ〟の魔女や魔法使いは〝穢れた血〟と呼ばれることがあるようだし、〝マグル生まれ〟と仲良くする者は〝血を裏切る者〟と呼ばれている様だった___恐らくだが、そう呼んでいるのは〝純血主義〟を掲げるドラコの様な家系の者だけの様に思えた。

セブルスが、〝穢れた血〟という言葉を使っているところは見たことが無い___

恨めしそうにそう告げながら、ずっと〝血〟にこだわっているドラコに、Aは曖昧に頷くしか無かった。

〝半人狼〟であることは公にするべきではないが、ここまで〝血〟にこだわる彼には、特に知られたくないなと感じた。

「__そろそろ着く頃だ。僕達は席を外すからローブに着替えるといい」

ドラコ達が気を遣って出てくれたので、Aは服を着替え、真新しいローブの袖に腕を通した。