白のリコリスが咲く【Harry potter】 (ページ13)

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「この袋いっぱいに入れていれば、次の新学期まで特に困ることは無いはずだよ」

フリットウィック先生はAに優しく丁寧に、魔法界の通貨について教えてくれた。

1ガリオンは17シックル
1シックルは29クヌート。

魔法界の常識から覚えていかなければならないことに、かなりの苦労もありそうだが、未知の世界はAの探究心を強くくすぐった。

金貨を手に入れたAはフリットウィック先生の案内でまず初めに〝杖〟を購入することとなった。

先程から彼が軽やかに振る杖を自分も入学と同時に手に入れることが出来るということもあって、胸が高鳴った。

杖の店のオーナーは、ギャリック・オリバンダーと名乗ってくれた。

彼は、まるでAが来ることを知っていたかの様ににこやかに迎え入れてくれ、店の奥から一つの古びた箱を取ってきた。

「貴方の杖は、これしかありませんな__材木はナナカマド、芯はユニコーンの角の粉末」

オリバンダーに差し出された杖を受け取ると、Aの身体を包み込む様な暖かさが駆け巡り、心地の良い風が吹いた。

「やはり、そうであったか！＿＿これは貴方のお母様の杖と〝兄弟杖〟なのです。芯材にユニコーンの角の粉末を使うのは2本のみであり、その芯材は物事の本質を大切に出来る者にしか扱えない難しい代物。貴方のお母様がこの杖の一方に選ばれたのだから、貴方もきっとそうだと思っていましたよ」

「ナナカマドは頭脳聡明で心優しい人に向いている__戦闘や防御では実に強力な魔法を繰り出すことが出来ますぞ」

母親とお揃いの杖と聞いて、とても嬉しかった。

側に立つフリットウィック先生もニッコリと微笑みながら一緒に喜んでくれた。

次に向かったのはペットショップだった。ここでAは〝ニーズル〟という猫型の魔法生物の血が混ざった黒猫をペットに迎え入れた__すぐ側には店員から〝クルックシャンクス〟と呼ばれたもう一回り大きい同じ様な猫も居たが、その子は随分とAを警戒していたので、猫好きのAとしてはその猫に好かれなかったことがかなり残念であった。

次に向かった店はマダム・マルキンの洋裁店だ。
こちらでは、ホグワーツでの制服やローブの裾合わせをした。

間も無くAの番が終わろうかという頃___チリンチリンと店のベルを鳴らしながら扉が開いた。

赤毛の両親に連れられた、赤毛の女の子が恥ずかしそうに店に入ってきた。