チョコレート ページ37
Aを抱き締めるリーマスの手が震えているのを僅かに感じながら、そっと彼の背中に手を回した。
こんなに近くにリーマスを感じたのは、幼かったあの時以来だ＿＿でも、その時よりも遥かに大人になった彼からは、安心するような温もりと、甘いチョコレートの香り、爽やかな紅茶の茶葉の様な香りがした。
「＿＿A」
名前を呼ばれて、ふと顔を上げると、リーマスが困った様に眉を下げていた。
「迷惑かも知れないけど」
「僕は君が好きだ」
Aの瞳を見ながら伝えられたその言葉に、Aはブワッと一気に全身を熱が帯びた様に感じた。
「私も、リーマスが好き」
リーマスを大切に想う気持ちは幼い頃から変わらないし、最近気が付くことが出来た愛しいという気持ちは誰にも負けることはない。
迷いなくそうハッキリと告げるAに、嬉しそうに微笑んだリーマスはゆっくりと額を彼女のものにくっつけて、弱々しく吐いた。
「嘘みたいだ」
「嘘じゃないわ」
「＿＿人狼の僕を、君が受け入れてくれるだけで充分なのに、これ以上の幸せを望んでしまったらバチが当たるんじゃないかな」
リーマスの声色には迷いがあった。
Aはそっと、リーマスの頬にかかる髪の毛を払って、彼の瞳から溢れる涙を拭った。
「後のことは、その時に立ち止まって、一緒に考えましょう」
「リーマス。今は何も考えないで＿＿私を見て欲しい」
Aが言い終わるのと同時に、リーマスの顔がフワリと近付き＿＿2人の間の距離は０になった。
彼から香るチョコレートの香りと同じように、甘くて優しいキスだった。
何度も繰り返されるとろけるようなキスに、互いを愛しく想う気持ちはどんどんと溢れ出てくる。
ようやく2人の顔が離れた頃には、中庭には月明かりが差し掛かり始めていた。
すっかり忘れていたか、夕食の時間が始まっている頃だ。
どこか名残惜しさを感じたが、夕食を抜くわけにもいかない。彼も同じように思ったのかニコッと笑みを見せて手を差し伸べてくれた。
「行こうか」
そっと繋がれたリーマスの手を握り返しながら、Aは彼と共に大広間に続く廊下へと足を進めた。
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ひまわり。(プロフ) - レティシアさん» ありがとうございます😌子世代編へと続いていくのでお時間あれば目を通していただけると嬉しいです(^^) (2022年1月27日 20時) (
レス) id: 0e882bf437 (このIDを非表示/違反報告)
レティシア - ……この作品、最高。これこそ私の探していた小説ｯ (2022年1月27日 19時) (レス) @page49 id: 04b1c05e16 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ひまわり。 | 作成日時：2021年4月14日 20時
