07.意地悪 ページ7
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少し驚きを含んだ友人の声と、
どうも、と背後から聞こえる落ち着いた声。
……うん、間違いない。角名くんだ。
「いつの間にこっち来たん」
「あかん、Aがフリーズしとる」
「……………………」
またやられた。自販機のときといい今回も背後から。
あのときも気配を感じなかったけど、
今回も全く感じなかったし音もなかった。
角名くん前世はきっと『暗殺者』だったに違いない。
「……な、なにか用？角名くん」
「ん？」
恐る恐る後ろを振り返りながら尋ねると、
彼は相変わらず余裕げな表情で私を見下ろしていた。
無意識に体全体に力が入る。
「いや、これ落としてったから」
「え？……あっ！」
すらりと長い人差し指に引っ掛けられた、
ダークブラウンの髪ゴム。
手元をみると持っていたはずの髪ゴムは無くなっており、
それは紛れもなく私のものだと気付く。
髪をまとめている間に落としてたんだ。
全っ然気がつかなかった……！
「…ありがとう」
「ん、どういたしまして」
お礼を言ってそれを受け取ろうと手を伸ばすと、
目の前にあったはずの髪ゴムがくいっと頭上へと上がった。
伸ばした手が虚しくも空を切る。
え、……えっ？？
もう一度手を伸ばして掴もうとすると、
角名くんは髪ゴムを引っ掛けた手をさらに上へとあげた。
「………………」
「………………」
無言のままその涼しげな顔を見つめる。
後ろで友人たちの「何してんの」と笑う声が聞こえる。
いやほんと何してんの、だ。
なに、この子供じみた嫌がらせは……！！
怒りとまではいかないけど何だかムッとして、
角名くん…と少し強めの口調で名前を呼ぶ。
「……ふ、ごめん、つい」
角名くんはクスクスと笑いながら髪ゴムを返してくれた。
「意地悪してごめんね。じゃあ俺戻るわ」
私の顔を見て小さく笑うと双子のもとへと戻っていった。
「えらい弄られとったやん」
「Aのこと気に入ってんとちゃう？」
「あーそれ思った！」
「？…え、何を根拠に？？」
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作者名：. | 作成日時：2020年1月29日 23時
