おまけの角砂糖 ページ48
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角名くんと想いを重ねてからというもの。
無事に連絡先もゲットして。
1月の彼の誕生日も無事祝うことができた。
ただ知ったのは誕生日の3日後で。
なんで教えてくれなかったのぉ!!と半泣きでお祝いした。
これはそんな充実した日々の、ちっちゃな出来事。
「あ、つぎ移動教室だった」
昼休みの時間。
二人きりで階段の踊り場でのんびり談笑して。
次が移動教室だという角名くんのために少し早めに
教室に戻ろっかと伝える。
そしてお互いに一歩踏み出したとき、
私はある事に気がついた。
「あっ、…ちょっと待った!!」
咄嗟に角名くんを引き止めようと、
ちょうど掴みやすい場所にあった彼のベルトをぐいっと掴む。
うっ、と角名くんからくぐもった声がして。
あ、ごめん!と慌てて手を離した。
お腹をさすりながら角名くんがこちらを振り返る。
「さっき食べたやつ出るかと思った…」
「ほんとごめんね。……その、ネクタイが」
そう言って彼のネクタイを指さす。
いつも少し緩めに結んである制服のネクタイが、
さらに緩まって解けかけていた。
あ、と角名くんがそれに触れる。
そして私を見て何かひらめいた様に妖しげに笑った。
「そうだ。Aちゃん結んでよ」
「え?」
「ね、お願い」
「え、ええ??」
*
結局、角名くんに流されるまま、
結び目の形を整えながらネクタイをちまちまと結んでいく。
んん〜〜??
「これでいいのかな?」
「うん。上手上手」
壁に背中を預けながら、優しく褒めてくれる。
いつの間にか腰にゆるく腕が回されてたけど、
手元に集中しすぎてあまり気にしなかった。
「よし、できた」
パッと顔を上げると、額を合わせるように角名くんが身を屈めてきた。
は、えっ。あまりの顔の近さに体が固まる。
「ありがと」
「ど、どう…いたしまして」
「なんか新婚さんみたいだね」
「ハッ!?」
さらりと囁かれた言葉。
ボンッ!と音が出そうなくらいに顔が熱くなる。
なな、なにを言ってるんだ、もおおっ!!!
「……お、おばかっ!!」
「ひどっ。えっ、待っ……くるしっ」
気づかないうちにネクタイをぎゅっと掴んでいて、
その首元を締め上げていた。
Aちゃんが俺を殺りにきてる。
その日の部活中に角名くんはそう言って笑っていたらしい。
おまけ Fin.
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作者名:. | 作成日時:2020年1月29日 23時