検索窓
今日:613 hit、昨日:1,700 hit、合計:1,483,085 hit

おまけの角砂糖 ページ48

.





角名くんと想いを重ねてからというもの。



無事に連絡先もゲットして。

1月の彼の誕生日も無事祝うことができた。

ただ知ったのは誕生日の3日後で。
なんで教えてくれなかったのぉ!!と半泣きでお祝いした。



これはそんな充実した日々の、ちっちゃな出来事。







「あ、つぎ移動教室だった」





昼休みの時間。
二人きりで階段の踊り場でのんびり談笑して。


次が移動教室だという角名くんのために少し早めに
教室に戻ろっかと伝える。





そしてお互いに一歩踏み出したとき、

私はある事に気がついた。






「あっ、…ちょっと待った!!」






咄嗟に角名くんを引き止めようと、
ちょうど掴みやすい場所にあった彼のベルトをぐいっと掴む。




うっ、と角名くんからくぐもった声がして。

あ、ごめん!と慌てて手を離した。




お腹をさすりながら角名くんがこちらを振り返る。






「さっき食べたやつ出るかと思った…」


「ほんとごめんね。……その、ネクタイが」






そう言って彼のネクタイを指さす。

いつも少し緩めに結んである制服のネクタイが、
さらに緩まって解けかけていた。



あ、と角名くんがそれに触れる。

そして私を見て何かひらめいた様に妖しげに笑った。





「そうだ。Aちゃん結んでよ」


「え?」


「ね、お願い」


「え、ええ??」







*







結局、角名くんに流されるまま、

結び目の形を整えながらネクタイをちまちまと結んでいく。



んん〜〜??





「これでいいのかな?」


「うん。上手上手」





壁に背中を預けながら、優しく褒めてくれる。




いつの間にか腰にゆるく腕が回されてたけど、

手元に集中しすぎてあまり気にしなかった。







「よし、できた」





パッと顔を上げると、額を合わせるように角名くんが身を屈めてきた。

は、えっ。あまりの顔の近さに体が固まる。






「ありがと」


「ど、どう…いたしまして」


「なんか新婚さんみたいだね」


「ハッ!?」






さらりと囁かれた言葉。


ボンッ!と音が出そうなくらいに顔が熱くなる。

なな、なにを言ってるんだ、もおおっ!!!






「……お、おばかっ!!」


「ひどっ。えっ、待っ……くるしっ」





気づかないうちにネクタイをぎゅっと掴んでいて、
その首元を締め上げていた。




Aちゃんが俺を殺りにきてる。

その日の部活中に角名くんはそう言って笑っていたらしい。






おまけ Fin.

終わり ログインすれば
この作者の新作が読める(完全無料)


←あとがき



目次へ作品を作る
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (2052 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
3173人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:. | 作成日時:2020年1月29日 23時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。