41.涙 ページ41
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周りの音が遠くにあるように感じる。
角名くんが私を、え、ちょっと待って。
一旦待ってほんとに待って。
これ勘違いしていいんだよね？
自惚れてもいいん…だよね……？？
「い、いまの…ほんと…？」
「ほんと。俺、結構頑張った方だと思うよ」
Aちゃん案外鈍かったし、と笑われる。
に、鈍いとは失礼な。
だって角名くんはただ私をからかって、
いつも反応をみて楽しんでいるだけだと思ってた。
女の子とも仲良く話しているのも見たことあるし、
角名くんは結構接しやすいタイプだって聞いたこともあった。
私ばっかりが好きなんだと思ってたから。
うまく思考が追いつかない。
「でも角名くん、いつも余裕そうだった」
「心の中では結構緊張してたよ」
「いっつも意地悪してきた」
「うん、だって好きだもん。意地悪したくなるよね」
手を握られたまま見事に論破される。
もう嬉しいのか困ってるのか分からなくて。
気持ちと考えがぐちゃぐちゃになって、
つい責め立てるような口調になってしまった。
「なにそれ、子どもかぁ……っ」
色々と込み上げてきて涙で視界がぼやけた。
これじゃもう、どっちが子供か分かんないね。
「ははっ、泣き顔すっごいな」
「……ひどい…！」
「ん。ごめんごめん」
怒りながらも次々と溢れ出てくる涙を角名くんが
いたずらっぽく笑いながら親指の平で拭う。
そしてそのまま長い指で私の髪の毛を片耳にかけては、
ねえAちゃん、と優しく呟く。
「学校戻ったら１回会お。できればすぐに」
「うん」
「ちゃんと2人きりで」
「うん」
「ここじゃAちゃんをぎゅって出来ないから」
「うん、……え？」
いま、なんてった？？
ニヤリと笑う角名くんを見つめていると、
「稲高生ー。応援の生徒さんそろそろ集まって〜」
後ろから引率の先生の声が聞こえた。
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作者名：. | 作成日時：2020年1月29日 23時
