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04.予想外 ページ4

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「あ、水買っていい?」


「水?…あ、ごめんなさい」






背後の自販機を指差す角名くんに慌てて場所を譲る。







「………………」






不思議な感覚だ。


じゃあ私はこれで〜!とか言って立ち去ればいいのに
何故かそれが出来ない。






うまく言葉が出なくて、地面に足がくっついてるみたい。





角名くんとちゃんと話したのは初めてだけど、

思ってたより話せたかもしれない。



下の名前で呼んでくれたし案外話しやすい人なのかな。



んーでもやっぱり何だか怖い。不気味って感じが強いな。

操る、というかなんというか……








角名くんへの印象が良くない方向へ傾きかけた時、

ガコン、とボトルが取り出し口にぶつかる音で我に返った。








「……よっ、と」





長身の体を屈めて、それを取り出す。



どうにかしてこの場を去ろうと口を開きかけたとき、

あ、そういえばさ、と彼に呼び止められた。








「集会んとき目合ったよね、2回ぐらい」







ぐっと上半身を起こして、こちらを見つめてくる。

私がいま一番避けたかった内容を口にした。









「まぁ、そっちはすぐ逸らしてたけど」


「……………」


「あれ、なに?」


「なにって……」








そう言われましても。




改めて言われると、もの凄く恥ずかしい。

確かに2回も目を合わせたら不自然に思うだろうし。



でも……








「あ、あれは、」







体中の熱が耳と頬に集まってきた。


な、なんて言えばいいのか。








「よく分からない。ごめんなさい…」







一歩後退りして、地面に視線を向ける。


こ、こわい。変な女、謝ってばかりで弱い女だと思われたかも。







しばらくお互いに黙り込んでいると、








「Aちゃんってさ、」








沈黙を破るように彼が私の名前を呼んだ。








「やっぱり可愛いよね」







そして予想外の言葉を口にしてきた。

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作者名:. | 作成日時:2020年1月29日 23時

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