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29.割り込み ページ29

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球技大会、当日。





試合に負けてしまい暇になったため、

体育館で行われている男子のバレーボールの試合を

上のギャラリーから眺めていた。



(友人たちは、それぞれに彼氏の応援に行っていて不在。)









「ねえ侑くん。レシーブして相手コートに跳ね返ったボールって
そのまま拾いに行って繋いでもいいの?」








隣にはここが1番見やすい、とやってきた侑くん。


次の試合まで、ここで他チームの試合を観るらしい。








「アンテナの間通ってなかったら繋いでええよ。

ボールを自分側のコートに返す場合も
アンテナの間を通したらダメやし、

そのボールを拾いに行く時、
相手コート入ってしもたらその時点でアウトやな。あと…」



「わ、ちょ、ちょっと待って…!」








ペラペラと怒涛の早口説明に戸惑う。


さっきからこんな感じで、
1つの質問に対して倍の回答が返ってくる。




侑くんのバレー愛は立派だし尊敬する。

けど、もっと優しく説明をしていただきたい……!!







「あ、Aちゃんあっち見てみ」


「え、あっち?」







あっちってどっちだ??

何処を見ればいいのか分からず。




右へ左へとキョロキョロ顔を動かすと、






「どこ見てんねん、あっちやて」


「う、いだっ!!」







両手で頭を挟まれて、ぐりんっと体育館奥のコートのほうを
強引に、無理やり向かされた。




女子相手に容赦なしか!とその手を叩いていると、







「……プロレス中?」






少し笑いを含んだ透明感のある声が聞こえた。




聞き慣れたその声にドキッとしつつ、

お互いに手を離してそちらを振り返る。






そこには、お疲れ〜と呆れたように笑う角名くんがいた。








「おー角名。んや、ちゃうねん。
いまAちゃんにバレーの解説中なんよ。なっ?」


「うん。侑くん解説へったくそなの」







さっきの仕返しにボソッと文句を言ってやると、

侑くんは「んああ!?」と顔を顰めた。






「ほんまこの子は!ヒトの親切をなんやと思っ……ちょ、」


「………!!」








侑くんが言い終える前に、

細身の体が無理やり私達の間へと割り込んできた。



もちろん、それは角名くんで。







「角名おまっ……何やねん!」


「俺も混ぜてよ」


「はぁ?お前説明いらんやろ」


「いいから。退きなって」




ジャマ。と侑くんの体を押して彼は私の隣にやってきた。

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作者名:. | 作成日時:2020年1月29日 23時

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