25.帰り道 ページ25
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角名くんは手慣れたようにスマホを横にして、
私とのツーショット写真を撮った。
あとで見せてくれたスマホの中の私は、
あまりの近さに緊張して表情がガッチガチで。
けど、そんな私を彼は「全然いい」とフォローしてくれた。
写真を撮るとき私の身長に合わせて身を屈めてくれたり。
自宅方面へ向かうバスが発車するまで見送ってくれたり。
最後の最後まで角名くんは本当に優しかった。
悪い人じゃ、ないんだよなぁ。
一緒にいて本当に楽しかったし、何より凄く話しやすかった。
最寄りのバス停でバスを降り、
そんな事を考えながら自宅までの道を歩いていると、
「あっ！Aちゃんや」
「あ、ほんまや。おかえり〜」
タイミングよく目の前のスーパーから、
部屋着姿の双子がひょっこりと現れた。
その手には可愛らしいエコバッグやキッチンペーパーの袋などが握られている。
きっとおつかいでも頼まれたんだろう。
「どやった？角名とのお出掛け」
「楽しかったよ。角名くん凄く優しかった」
「っはー！つまらん！！｣
ゆっくりと歩きながら治くんの質問に答えていると、
隣にいた侑くんがやたら大きな声を上げた。
人の話を聞くなり開口一番に『つまらん！』とは。
なんて失礼な男だろう。バチが当たればいいのに。
「なあ。なんか無かったん！？」
「？なんかとは…？」
「アレや、こう、ハプニング的なやつ！」
「お前はAに何を求めてんねん」
「うっさいわ」
呆れた顔をした治くんが侑くんにツッこむ。
2人きりなんやで！？と興奮ぎみの侑くんを横目に、
この半日をちょっぴり振り返る。
ハプニングか……
バスで角名くんに勢いよくぶつかった事とか？
うわっ言いたくない。言ったら絶対ネタにされる。
「んー、あったけど言わない」
そう言って侑くんの隣から少し前を歩く治くんの元へとササッと逃げる。
「は、なんやねん教えてや」
「やーだ。治くん宮家の晩ご飯なに？」
「ギョーザ」
「わあっいいな〜」
「おいこら無視すんなや！」
友人たちの優しさと、宮兄弟の明るさ。
そして角名くんの意外な一面に心を満たされて。
素敵な土曜日は幕を閉じていった。
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作者名：. | 作成日時：2020年1月29日 23時
