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18.慣れない ページ18

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角名くんの姿を見た途端に心臓が大きか音を立てて、

さっきまで軽かった足が急に重たく感じる。






大丈夫、落ち着け私。


何も怖くない。あれはただの角名くんだ。

知り合い以上、友だち未満の関係を少しでも深めていこうじゃないか。よーーし。







「す、なくん……!」






名前を呼ぶ声が少し震えた。


聞こえるか聞こえないか、ってぐらい微かな声だったけど
彼にはちゃんと届いていたようで。




スマホから顔を上げた角名くんが、

私の姿を視界に入れては少しだけ目を見開いた。







「お疲れさまです」


「はい お疲れ様です」






変に緊張してぺこりとお辞儀をすると、

角名くんも同じように軽く頭を下げてくれた。


なんてノリがいい。





顔を上げて制服のポケットにスマホを入れてこちらに近付く。







「あれ、何かいつもと雰囲気違う」






そう言って切れ長の瞳がこちらに向けられて、体中の熱が顔中に集まる。



すっごい見られている。

なんか隅々まで見られてるような気がする。







「あ、うん。友達がしてくれて」


「へぇ」







なんだか恥ずかしくて照れくさくて。

髪を片耳にかけては角名くんから視線を逸らした。




お互い、少しだけ沈黙になる。




周りの生徒の賑やかな声や、

自分の心音の中でただじっと立っていると、






「はは、やばいね」


「……??」


「油断したら手ぇ出しちゃいそう」


「えっ!?」







その口から出てきたのはとんでもない言葉だった。





「はっ、なに……は?」


「はは。は?って」






自分でもびっくりするくらい低い声を出しながら、

身を守るように1歩後ろに下がる。







「なんてね。大丈夫だよ多分」






いや、多分て。

険しい顔の私をみて彼は愉しそうに笑う。


その妖艶な笑顔に不覚にもドキッとしてしまった。
うん、これは絶対に内緒にしておかねば。





「ま、とりあえず出よっか」


「えっ、あ……うん」







靴を履き替えて角名くんのやや斜め後ろを歩く。







あー、もうほんと。

会って早々角名くんにやられっぱなしだ。



でも、前に比べるとそこまで苦ではない気がする。






「あ、せっかくだし手でも繋ぐ?」


「!……繋ぎません!!」


「っほほ、即答かよ」





まあ、まだまだ慣れないところはあるけど。

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作者名:. | 作成日時:2020年1月29日 23時

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