角砂糖３つ分の､【角名倫太郎】 (ページ15)

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15.お誘いページ15

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えっと、なんだこれは。

トイレに行った帰り。

突然、前方から歩いてきた角名くんが通せんぼするように目の前に立ち塞がった。

正直あのバス停の日から何故か顔を合わせづらくって、
今すぐにでも逃げ出したいのが本音なんだけど。

もちろん、逃げられる隙もなく。

固まった表情のまま角名くんを見上げると、

彼は開口一番にこう言った。

「お出掛けしよ、Aちゃん」

と。

……え？

「お出掛け？」

「そ、お出掛け。2人で。今週の土曜に」

「……お出掛け…」

オウム返しのようにその言葉を口にする。

言葉は分かるけど頭がうまく追いつかない。

「土曜の午後部活休みなんだけど何か予定ある？」

「特に何もないけど……」

今週の土曜日は午前中だけ授業があり、

放課後はそのまま家に直帰しようと思っていた。

そっか。バレー部お休みなんだ。珍しい。

でも、なんで私に？？

私だと何か都合がいいのだろうか。

そもそも私なんかが一緒でいいのだろうか。

「あ、あの、角名くん」

「ん？」

「どうして私なの？」

まっすぐに彼を見上げながら尋ねる。

「私なんかよりバレー部とかの方が絶対たのし、」

「いや、Aちゃんがいい」

すべてを言い終える前に遮られてしまった。

「Aちゃんがいいから、こうして誘ってんの」

それがあまりにも落ち着いた声で。

真剣な表情だったから胸が大きく跳ねた。

ここ最近、変に角名くんを意識してしまって本当に落ち着かない。

……からかわれているだけだと思ってたのにな。

「……だめ？」

そう言って小首を傾げながら微笑まれる。

なにそれズルい。角名くん卑怯だ。あざとすぎる。

そんなの、もう答えなんて、

「……行ってもいい、かな」

これしか選択肢がないじゃんか。

「あとで『違う人と行けば良かった』とか言わないでね」

「絶対に言わないから安心してね」

心配気味に言うと彼はにっこりと笑いながらそう答えた。