白昼夢 ページ18
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「無事なのです？」
そう言ってふいにAさんが足を止める。
地響きはもうしてない。
ただ、さっきからずっと嫌な気配が漂っていて、気持ちが悪い。
魔界のにおい、というものがどんなものかイマイチわからんけど、なんとなく甘ったるい花のような香りが鼻先を掠めている気がして・・・だとしたらこれがそうなんか。
大「あ、うん・・・えっと」
「落ち着くのです。
張り詰めたような横顔が、
・・・今から、討伐。
こんないきなり戦闘態勢に入るのは初めてのことやから、気持ちがなかなか追いついてこうへん。
「・・・これはさすがに想定外なのです」
大「え？」
「もっと気を張っておくべきだったのです」
そう言ってAさんはちらりと俺の顔を見上げ
それからふっと視線を逸らした。
なんというか、俺は正直ききたいことが山ほどあるし感情的にはめちゃくちゃになっとるけど、今は黙って上官であるAさんの言うことを聞くしかないって、頭ではちゃんとわかっているつもりで。
「あっちの校舎の裏なのです。大倉さん」
大「な、何？」
「・・・わたしが、命に代えてでも護るのです。
大倉さんが進んで攻撃をする必要は全くないのです。今は自分の身を守るためだけに、刀を使うのです」
ドキッとした。
・・・いや、イケメン過ぎるやろ。
普通にときめいてもうたんやけど、なんていうかこれは男側としての気持ちなんか女側としての気持ちなんか、ようわからん！
俺も慌てて翡翠丸の暗器化を解除して
それを鞘から引き抜いた。
真昼の日の下で見る翡翠丸は、刀身がぎらりとまぶしく光り輝く。
授業中で、しずかな学園。
今はもう使われていない、中等部の旧校舎。
ずきりと、背筋に、
寒気というよりはもう痛みに似た感覚が通った。
建物の裏側、木の生い茂ったその陰に、それは居た。
大「っ・・・う、わ。マジか・・・」
地面に大きく広がった水たまりのような黒いもやは、魔界と直接つながる――――境門と呼ばれる、異次元への扉。
「・・・・・オロチ」
そこから巨大な胴体を出し
シューシューと不気味な音を上げる漆黒の影。
複数の頭を持つ大蛇の形をしたその怪物は、赤い目を光らせ、牙から毒を滴らせた。
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べに(プロフ) - ゆうみさん» ゆうみさん、コメントありがとうございます！わああとってもうれしいです、励みになります！(；；)お話はまだまだ続くので、頑張って更新していきますね！ (2020年7月2日 1時) (
レス) id: e3692f9d07 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうみ(プロフ) - とっても面白いです！シリアスなのにコメディタッチで、とっても読みやすいしとにかく物語に引き込まれました！一気に読み進めて続きが楽しみです！更新頑張ってください♪ (2020年6月30日 21時) (レス) id: bea5fb83fd (このIDを非表示/違反報告)
べに(プロフ) - ココナッツさん» わーーんめちゃくちゃうれしいですうう(；；)ありがとうございますなのです！(エルちゃん風) (2020年6月22日 21時) (レス) id: e3692f9d07 (このIDを非表示/違反報告)
ココナッツ(プロフ) - べにさんお疲れ様です！私個人の意見ですが、もうこれは無料で読めるアプリの域を超えているような素晴らしさなのです(エルちゃん風) (2020年6月21日 8時) (レス) id: 5d604581ae (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：べに
| 作成日時：2020年5月22日 21時
