太陽の森（∞）３

強いヤツが好き ページ11

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ふたりでギャアギャア言い合いながら朝の鍛錬を終えて、屋敷に戻った。


朝食のにおいが廊下まで漂っとる。


俺はふととなりを歩くダルそうな亮ちゃんを見下ろして、その横顔に影を落とす長い睫毛を観察する。


改めるけど、このひとマジでイケメンやな。




大「亮ちゃんってさ」

錦「あ？」

大「Aさんのどこが好きなん？」




聞いたら、バッ！と振り向いた亮ちゃんが
耳の端まで顔を赤くしてた。


・・・出た、うさぎちゃん！


目をきゅるきゅるとせわしなく泳がせ、
いきなりなんてこと訊くねん、と悪態をつきながら
誤魔化すように鼻先を掻く。




錦「・・・俺は強いヤツが好きやからな」




そう言ってニーッと、楽しそうにわらった。




錦「俺より強いヤツは、もっと好きや」




それだけが理由ではないんやろうけど、まあ、
単純明快な亮ちゃんらしいっちゃらしい。





「おはようなのです」

錦「A〜〜〜なあんで昨日おれん部屋来てくれへんかったん〜〜？」




食堂に入ると、現在任務に出ている丸以外もうみんな揃っていて。


亮ちゃんはさっそくAさんのとなりを陣取って
いつものごとく絡み始めてる。


俺はヤスのとなりで眠そうに頭を揺らしとるすばるくんの姿が目に入って・・・一瞬この前の廊下での出来事を思い出したけど、それ以上は何も考えず席についた。



――――ノアに近づくな



Aさんとすばるくんが揃ってる場面を見るたび思い出してしまう。


でもなんや、複雑な事情が隠れている気がして
なんにも訊けてない。




大「・・・・・」

横「どうした？」

大「えっ、あ、なんでもない、・・・です」




横山さんは、黒陽の指揮官。


・・・指揮官って、実際に戦ったりはするんやろか。


俺はまだこのひとと実戦に赴いたことはないけれど、刀さばきはとにかく凄まじかったし、見てくれからして明らかに強そうよな。



ノワール。

それはフランス語で、"黒"の意味。





「学校、きょうは体育があるのです」

大「あー・・・そうやな」

「体育がいちばん好きなのです！」

横「・・・A？ くれぐれも妙な身体能力を一般人の前で披露せんようにな」

「平気なのです！」

村「アンタら、忘れず弁当持っていきや」




梅雨が明けたばかりの空は、快晴で。


初夏の太陽が、今日もまばゆく輝いている。

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