ご招待 ページ9
.
連行されたその場所に、俺は思わず声をあげた。
大「・・・ウソやろ・・・」
警備員付きのバカでかい観音門をくぐり
敷地内に停車する。
なんで庭に噴水なんかあんねん？
優雅に弧を描いてしぶきを立てる水が夕日色に輝く。
この街一番の、大豪邸。
大「・・・・・えぇー」
「ばかみたいな顔なのです。ほら行くのです」
わりと毒舌な彼女に背中を押されて、
もうちょっと驚きと余韻に浸っていたかったけど
仕方なく歩き出す。
街の人はみんなこの屋敷のことを城と呼ぶ。
由緒正しき旧華族の、城。
こんなとこ入れる人間ちゃうで、俺。
いやほんまに、ここはハプスブルク家の宮殿ですか？いうくらい大きな建物がでんと腰を据えてる。
ん？あそこは温室・・・？
えっ、あれってメイドさん？本物？
きょろきょろしながらそのでっかい建物に入ると、頭上から、声が降ってきた。
「おー、エル。早かったな」
――――手すりに肘を置き、
二階からこちらを見下ろしている、男。
「オマエもう連れてきちゃったのか〜。てっきり俺は今日お会いできないかと」
男はそう言うと、ニッと口角をあげる。
俺は目が合ったことに思わずたじろぐ。
国の二大政党のひとつ、
自由平和党に所属する国会議員である、
街の祭りやイベントでは何回か見たことがあるし
選挙の時期には街頭演説とか
わりと積極的に市民の前に立っているイメージはある――――顔が良いこともあって女性支持率の高い、政界の若武者とかなんとか。
城は、この星野一族のもので。
「朔夜さん」
朔「ま、お疲れな。任務遂行！ありがとう」
・・・星野朔夜は軽やかな足取りで階段を降りてくると、まるでちいさな子どもを相手するように、彼女の頭を撫でた。
ふわっと、香水の芳しいにおいが漂って、シワひとつ見当たらんスーツがめちゃくちゃカッコイイ。
さすが大物政治家・・・もうオーラが違う・・・
そんなん思ってたら星野朔夜がぱっとふりむいて、
いきなり俺の頭までぐしゃぐしゃと撫でてきた。
朔「よっ！少年。怪我はないか？」
少年て、と思ったんは、内心。
俺は無言でこくこくと頷くしかない。
や、そういえば肩脱臼してたけど。
視界の隅では、また彼女がくすくす笑っとる。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 135人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
べに(プロフ) - 稲妻さん» わ〜！ありがとうございます！！気まぐれ更新ですが楽しんでいただけるよう頑張りますね〜！！ (2020年2月16日 23時) (
レス) id: e3692f9d07 (このIDを非表示/違反報告)
稲妻(プロフ) - めっちゃ面白いです！更新楽しみにしてます！ (2020年2月16日 15時) (レス) id: b45af291eb (このIDを非表示/違反報告)
べに(プロフ) - megumonkeyさん» はじめまして！コメントありがとうございます〜！！わたしの趣味全開ですが、そう言って頂けるととってもうれしいです…！気まぐれな更新にはなると思いますが、楽しんで頂けるようがんばります！(^^) (2020年2月13日 0時) (レス) id: e3692f9d07 (このIDを非表示/違反報告)
megumonkey(プロフ) - はじめまして。すごくスケールの大きい話でドキドキ楽しませて頂いてます。大倉くんがこれからどうなっていくのか、とても楽しみです。次の更新楽しみにしています (2020年2月12日 18時) (レス) id: fa40db60d7 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：べに
| 作成日時：2020年2月11日 23時
