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9粒。 ページ9

木々の祝福を抜け、少し開けた場所に出てきた。
もう少し向こうにはあたし達と普通の人間の世界を隔てる塀が立派に立っている。



なんか…こうしてみるとやっぱり狭い世界なんだな、ここ。
同じ歳の子はあの向こう側で何をしているんだろう。



『んー…あ、ほら』



トントンと肩を叩かれて斜め前を指す。
その指の方に視線を辿らせていくと、



半分ほど欠けた黄色い月が黒に浮かんでいた。



小説の中でよくでてきた綺麗なものの象徴の1つ。
小さい頃なら何度となく見たはずの月は今、とても神々しく見えた。



「綺麗、」


『うん。そやな』



文章で表された月ももちろん綺麗に思えた。
けど、実際に見るとこんなに違う。
今まで外に出ようとしなかったことを後悔した。



『月は自分で光れへんねん』



その言葉にいつかの小説の一文を思い出す。
確か…



『太陽の光を反射させて自分も光らせる』


「…そうだった」



あんな大きいものまでも照らす太陽。
夏はジリジリと肌を焦がし、冬は皆の憩いになる。
偉大だ。



『俺は、太陽を見たいねん』


「えっ」



世界で2人。
あたし達だけはその言葉を発してはいけなかった。
あたし達だけは…太陽の恩恵を受けられない。



「でも、見てしまったら」


『分かってるよ。けどもう何年や?俺はな…永遠の命なんかいらん』



強くそう言った横顔。
死のうとしてるのではなく、生きようとしているように見えた。

10粒。→←8粒。



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浅野(プロフ) - カジャさん» 画像戻したのですね…!カジャさんの思い通りにやってくださいね(⌒0⌒)/~~ (2019年6月24日 22時) (レス) id: 5193938615 (このIDを非表示/違反報告)
浅野(プロフ) - カジャさん» そうなのですか、!ならいいと思います!私の意見だけを使っていても他の読者さんは楽しめないと思いますので、どうぞ使ってください(^_^)/ (2019年6月10日 23時) (レス) id: 5193938615 (このIDを非表示/違反報告)
カジャ(プロフ) - 浅野さん» 本人ですね…ダメ元で画像申請しましたが許可が降りたので使用していました。ですが他の方が疑問に思う以上消させていただきます。すみません。 (2019年6月10日 23時) (レス) id: 94c6d0cc26 (このIDを非表示/違反報告)
カジャ(プロフ) - お酢んさん» ありがとうございます。ファンタジーなので共感は出来ないかもしれませんが…楽しみにしていただけたら嬉しいです´`* (2019年6月10日 23時) (レス) id: 94c6d0cc26 (このIDを非表示/違反報告)
浅野(プロフ) - 本人様の画像を使うのは良いのですか?それとも画像は御本人ではないのですか? (2019年6月10日 22時) (レス) id: 5193938615 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:カジャ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/kajya1734  
作成日時:2019年6月1日 0時

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