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23.受難 ページ24

Asaid




凍るように冷えた身体


ところどころに痛む傷


これが自分の身体なのかと疑いたくなる程言うことの利かない自分の身体



そして伝わる規則正しい鈍い振動


心地のよく懐かしい匂い



若しかして、太宰さん…?


私の冷えた身体に触れている暖かい背中



背中……?



若しかしたら私はおんぶされているのかも



「だ、ざい…さん…?」


私は今の精一杯の声を振り絞り太宰さんと呼びかけた


でも、返事を貰うより前に再び私の意識は何処かへ飛んでしまった



そして私は夢のようなものをみた

冷たい過去の夢




「Aは来るな」



今にも倒れそうな龍之介君の手首を私は掴む




「わ、私も行く!
掟は守らないといけない」




すると龍之介君は私の手を振り払った





「僕が一人で行く
Aがいても邪魔になるだけだ」






「で、でも!
仲間だって認めてくれた…!」





私は最大限に声を張った


龍之介君に聞こえるように



でも、龍之介君の足どりは疾い




私は精一杯走った

でも、身体の傷のせいなのか
龍之介君に追いつけるはずもなくて



龍之介君は消えていった



どうしよう



もし龍之介君が帰ってこなかったら
私は一人になってしまう




その日、仲間が殺 させた




私は、貧民街の路上をねぐらとする、親知らずの子供たちのひとり

九人ほどの境遇を同じとする仲間とともに、野で暮らしていた



そして、其の仲間達と互いに身を寄せ合い、庇いあうように日々を過ごしていた




何日も飯にありつけず、雑草でさえ奪い合って喰らう日々

雪の朝に目が覚めて、隣の友人が眠ったまま物言わず骸と成り果てているのを見出す日々


そんなまさに地獄のような日々を





私と龍之介君は龍之介君の妹の助力でからくも逃げ出したが深手を負った

命が助かったのは不幸中の幸い

他の仲間は全員死んでしまったから



そして、私達は夜を駆けた


仲間との掟を守る為に


『仲間が傷つけられれば、他の全員で仇を討つ』と云う掟を



でも、私は次第に龍之介君についていけなくなって意識は朦朧とし


私はいつの間にか路上に蹲っていた



そして、龍之介君にも先を行かれて

私は路上に横になった



もう死んでしまいたい



掟を守れなくてごめんなさい

そうやって謝れるのなら



もう地獄のような日々を送らなくていいのなら



私はそう思いながら目を閉じた





でも、私には再び朝が来た

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設定タグ:文豪ストレイドッグス , 文スト , 太宰治   
作品ジャンル:恋愛
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中二病メープル - 太宰さんツンデレ?好きな女の子には嫌がらせしたい的な。すっごく面白いです! (12月3日 9時) (レス) @page36 id: e52a8096f8 (このIDを非表示/違反報告)
さくら(プロフ) - 凄く面白かったです!これからも、更新楽しみにしてます!頑張ってください(*^-^) (2018年3月26日 16時) (レス) id: fb750e4c11 (このIDを非表示/違反報告)
なの(プロフ) - 響華さん» あ!!お恥ずかしい…笑ありがとうございます! (2018年3月3日 21時) (レス) id: 170cdda07e (このIDを非表示/違反報告)
なの(プロフ) - ウンディーネさん» ファンですか……?!こんな駄作に…ありがとうございます!頑張りますっっ!! (2018年3月3日 21時) (レス) id: 170cdda07e (このIDを非表示/違反報告)
響華 - said×→side○ (2018年2月12日 18時) (レス) id: 86c88d0ffc (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:なの | 作成日時:2017年11月2日 19時

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