始まる冒険 ページ1
移動式料理店を始めてはや2ヶ月、私達は冒険者の中では知る人ぞ知る秘境のような料理屋となっていた
もちろん噂を広め始めたのは私達である
いつ出会えるかわからない料理屋が冒険者の心擽るのだろう。風のような噂は移動式料理店との相性がいい。これはアイトの考えだった
最近は人気のない場所を移動している為ここ1週間客は少ないものの、余裕を持って営業できるくらいには順調だ
仕方がないことなのに客が来ないことを気にしているのか、ココ最近アイトの元気がない
......これはパートナーの私が元気づけてあげないとね!
私はカウンター席に座ると元気のなさそうなアイトを見上げた
「アイト、どうしたの?最近浮かない顔をしているけど......もしかして、お店のこと?」
「......ご心配をお掛けして申し訳ありません、お店のこと......ではないのですが」
「そう......でも、私には相談してもいいんじゃないかしら」
そういうと、アイトは悩んだ末にひとつの束を取り出した
綺麗な便箋に、端に皺の付いた読み込んだ手紙
それはマスカから届いた手紙だった
しかし1枚の手紙を手に取るとどこか浮かない表情を浮かべる
そして申し訳なさそうに口を開いた
「......マスカ様が領主邸の方へ戻ってきて欲しいと」
「そういうことね......アイトが行きたいようにすればいいわ」
「そういうことではなくて、なんだか胸騒ぎがするんです。手紙が妙に丁寧で......それにマスカ様が戻ってきて欲しいだなんて、なにか緊急事態でもあったのではないかと」
手紙を見せてもらうと、確かに妙だった
一言のみの手紙や素っ気ないものばかりが、突然長文で丁寧に
私もアイト同様、危険察知センサーが作動していた
マスカなりの助けを求めるような、そんな雰囲気を醸し出している。あのマスカがこんな礼儀正しい手紙をアイトに送るだろうか
私は悩むことなく、結論を出した
「一緒に行きましょ!」
「そんな......!ユリさんにご迷惑をお掛けすることは______」
「遠慮はなしよ。パートナーが行くというのなら私も行くわ」
「......わかりました、ありがとうございます」
未だに遠慮がちなアイトに驚きつつも、私達はマスカのいる領主邸へ向かうことにした
中々、苦戦をしそうな長い旅になりそうだ
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砂糖丸(プロフ) - 只野さん» 凄く嬉しいです!展開に悩んだまま未更新になっていましたが、書く気力を貰えました。ちょっと急いで書いてきます!w (2020年3月12日 9時) (レス) id: c1639a6bbb (このIDを非表示/違反報告)
只野 - いつも面白い物語をありがとうございます。私は砂糖丸さんがかくお話が好きです!更新頑張ってください! (2020年3月11日 21時) (レス) id: 6cd76ca198 (このIDを非表示/違反報告)
砂糖丸(プロフ) - イアルさん» ありがとうございます!コメント嬉しいです、凄い時間を掛けてしまって申し訳ない限りでした......そう言って頂けると嬉しすぎます、ありがとうございます!┏〇 (2019年11月9日 8時) (レス) id: c1639a6bbb (このIDを非表示/違反報告)
イアル(プロフ) - ん待ってました……!更新お疲れ様です、いつも素晴らしい物語をありがとうございます。 (2019年11月8日 18時) (レス) id: dff6dfdeb1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:砂糖丸 | 作成日時:2019年11月8日 17時