どんな君も大好きだ。

ろうそく【sumika/小川貴之】 ページ31

おがりんside


誕生日はフェスの前乗りで家を開けていて、
今日やっと神奈川の家に帰ってきた。





「たか！おかえり！！」


「おっ！Aいたのか！ただいま」


「会いたかったから来ちゃってたよ笑
誕生日おめでとう」


「ありがとう。なんかいい匂いする...」


「たかの大好きなカレー作ったよ！」








家の奥の台所から香る、美味しそうな匂い。

俺が小さい頃からずっと食べてきたカレーと同じ匂い。

もしかして、









「姉貴に教わった？」


「そうそう笑 小川家のカレーの味にもっと近づけたいなぁと思って！
たかがいない間にお姉さんにいろいろ聞いちゃったの」


「りんご多めにいれた？」


「うん」


「チョコいれた？」


「うん」


「うわー、もう俺んちの味だわそれ笑」








Aは俺の姉貴と仲が良くて、俺からしてもそれはすごく嬉しいことだ。


カレーが温まって、器によそって、席につく。



"ご飯はできるだけふたりで揃って食べる。"



これは俺達が付き合ってから守っていこうねと決めた約束ごと。








「いただきます」


「ごめんねカレーだけで。今日仕事忙しくてさ笑」


「いやいや俺Aが作るカレー大好きだから」


「ふふっ。でもね、デザートあるんだ」


「ん？」


「買ってきたのだけど、」







Aはそう言うと台所へ向かい、冷蔵庫から大きな箱を取り出した。


Aがその蓋を開けると、中には可愛らしくて真ん中には『お誕生日おめでとう』のメッセージプレートが乗ったケーキがあった。








「ちゃんとお祝いできてなかったし、クリスマスも兼ねて...笑」


「嬉しい、本当にありがとう」








カレーも全部食べ終わって、いよいよケーキ。

Aがろうそくに火をともす。


Aと迎える誕生日は何回目だろう？








「ハッピーバースデートゥーユー♪」







隣で無邪気に歌うAを横目に、俺は願いごとを考えていた。


今日から１年間、次の誕生日を迎えるまで、俺が成し遂げたいこと。


それはAとずっと一緒にいる証を作ることだった。






「たか？ろうそく消さないの？」


「あっ消す消す！フゥーッ」






1発で消えたろうそく達。


何を願ったの？と楽しそうに俺に聞いてくるAがいたけど、今は秘密。といたずらに返事をした。




俺が君の左指の薬指に似合う指輪を見つけられるまで、内緒にしておくね。

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