33:フロランタン ページ34
コナンside
「はぁ!?安室さんに振られたぁ!?」
『もう嫌だ死にたい』
Aが誘拐された次の日。
無事に帰宅したかというメールにいつまでたっても返事が来ないから不審に思って来てみれば、彼女の周りにはこれでもかというほどの負のオーラ。
一体どうしたのかと理由を問いただしてみれば…告白して振られたって、はぁ!?
あまりの急展開に頭がついていかない。
昨日の夜のうちにそこまで話が進んだのかよ。
ベッドの隅で毛布を被って三角座りをしている彼女は、ズッと鼻をすする。
『なんでこうなるかなぁ…本当は言う気なんてなかったのに…』
「…わかるよ。俺だって似たようなもんだった」
『その結果うまく言った工藤には言われたくない』
「………」
人が慰めてんのにこの野郎…
とも思ったが、確かにそれはその通りだし今のは俺が悪かったので何も言わずに頬杖をつく。
Aは赤くなった目を伏せて続けた。
『ずっとがむしゃらに走ってきたつもりだった。降谷さんの隣に立てるように。降谷さんに見合う人になれるようにって。
でも、追いかけても追いかけても降谷さんはずっと遠くにいて、手なんか全然届きそうになくて、降谷さんからすれば私なんてまだまだ子供で…』
「………」
『それで…焦って…気づいたら…』
「A…」
あの子は普通の子だと言い切った安室さんの言葉が頭をよぎる。
本当にその通りだ。天才でお嬢様かもしれないけど、今は失恋して泣いてるただの女の子だ。
それにしても…安室さん、Aのこと振ったのか…
昨日の夜、彼の瞳の中に見えたものはただの協力者の女の子に対するものだけではなかったように思えたけれど。
『こんなこと言っても仕方ないけど、せめてもうちょっと早く生まれたかったよ』
Aは壁に頭をもたれさせて言う。
…年の差か。きっと、当人達にしかわからないような思いや事情があるのだろう。
俺は立ち上がって、昨日拾ったものを彼女の前に差し出した。
「これ、お前のだろ」
それは、蘭がAに買ってきた桜の髪飾り。
彼女はそれを見て、目を見開いてから泣きそうな顔をし、受け取った。
『…工藤、昨日はごめん。ありがとう』
「いいよ別に。俺もう行くけど、飯くらいちゃんと食えよ」
『…うん、わかってる』
Aが頷いたのを確認してから部屋を出る。
馬鹿みたいに高いマンションを1階まで降り、スケボーに乗った。
行くところは決まっている。もう1人のところだ。
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紅个 - 面白いです! 頑張ってください。 (7月18日 9時) (レス) @page2 id: 5d6bcaafb9 (このIDを非表示/違反報告)
紅狐 - ◎ (7月18日 9時) (レス) @page2 id: 5d6bcaafb9 (このIDを非表示/違反報告)
紅湖 - 面白い (7月18日 9時) (レス) @page2 id: 5d6bcaafb9 (このIDを非表示/違反報告)
カルビ(プロフ) - はい!降谷さん格好よく書けてます!!大好きです!!良かったらボードで話しませんか?降谷さん語りましょう!! (2019年4月8日 16時) (レス) id: 36c4c5cb96 (このIDを非表示/違反報告)
立夏(プロフ) - 1さん» ありがとうございますー!続編でも頑張りますね!よろしくお願いします! (2019年4月5日 21時) (レス) id: 4a977019e9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:立夏 | 作成日時:2019年3月3日 21時