女子高生でも協力者になれますか？【降谷零/安室透】

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｢金持ちっていうのはどいつもこいつも気に入らねえな｣


そう言って彼はポケットから何かを取り出す。

それが小型ナイフだとわかって、一気に背筋が凍った。

後ずさっても背後は壁。腕は縛られている。動けない。

そのナイフが向けられて、ビリッとシャツを裂かれた。


『ひ…っ！』


出かけた悲鳴を慌てて飲み込む。

ボタンが弾け飛んで下着が晒される。

彼は私の顎を掴んで、無理やり上を向かせた。


｢殺さないとは言ったがなにもしないとは言ってねえぞ｣

『……っ』


それがどういう意味を示すかわからないほどバカじゃない。

隠しようもないほどに体が震える。

余裕が消えた私の瞳を覗き込んだ男は、満足げに笑う。

そしてナイフを仕舞い、タバコを落として踏みつけた。


｢お迎えが来るまで大人しくしてることだな、お嬢ちゃん｣

『………』


男が部屋を出ていき、扉にまた鍵がかけられる。

無意識のうちに止めていた息を吐いた。

深呼吸を繰り返して、手を握りしめて、心臓を落ち着かせようとする。

大丈夫だ、静かにしていれば私に危害は加えない。きっと無事に帰れる、大丈夫。

下手に逃げようとするのは得策じゃない。

私をつけていたのは複数人いたし、この建物内には仲間がいるだろう。大人しくしていよう。


…あいつの口ぶりからして、恐らく叔母様たちは要求を飲んだ。

発信機の電源なんて付けなくてよかったかもしれない。

余計な心配をかけてしまった。降谷さんにも、工藤にも。


彼は今どうしてるだろうか。

組織の仕事の邪魔にはならなかっただろうか。

首の火傷がジリジリと痛みだして、唇を噛んだ。

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