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聞き覚えのない携帯の着信音で目が覚めた。
隣で彼が体を起こし、布団がズレて寒さに身を縮ませる。
まだ少し眠いけれど、うっすらと目を開けて彼の背を捉えた。
降谷さんはベッドから下り、鳴り続ける携帯の通話ボタンを押した。
「…はい。…ええ、上手く行きましたよ。問題ありません」
いつもと雰囲気の違う声に、相手がどういう人物なのかをなんとなく察する。
「例のものならベルモットに……え?あぁ、そうですね、それならその時に」
まだあまり回らない頭で、その声を聞いていた。
「では明後日の夜10時でいいですね──ジン」
彼はその言葉を最後に通話を切る。
もう動いても大丈夫だろうか。目を擦って体を起こし、ベッドの上に座った。
降谷さんがこっちに気がついて振り返る。
そして、何故かなんとも言いがたい表情を浮かべた。
「お前なぁ…成人男性の隣で当たり前のように寝るのやめろって何度言えば…」
『…え?別にいいじゃないですか、セミダブルなんだし』
「もうちょっと男に対して警戒を…俺だからよかったものの」
『そうですよ、降谷さんにしかしないです』
グッと伸びをすれば、降谷さんはため息をつく。
どうでもいいじゃないですかこんなこと。それよりも…
『お体の具合は?』
「あぁ、もう大丈夫だ」
『それなら良かった』
「昨夜は悪かったな、ありがとう」
頭の上に手が置かれる。
そうは言ってもまだ本調子じゃないのだろうけど、彼は時計を見ながら衣服を正す。
当然今日も仕事なんだろう。無理しないで、なんて言葉は私には言えない。
ベッドから下り、机の上に置いていたUSBを手に取った。
『頼まれていたことは全部終わらせました』
「あぁ、ありがとう。まだ時間あるから朝ごはん作っていってやるよ、何がいい?」
『…フレンチトースト』
「はいはい、仰せのままに。あ、シャワー貸してくれ」
『どーぞ』
部屋から出ていく降谷さんの背中を見つめ、時刻を確認した。
6時前か…今日は学校だけど、登校時間まではまだ余裕がある。
昨日寝るの遅かったし、降谷さんがシャワー浴び終わるまで寝てようかな。
そう思ったが、1度目が覚めてしまえばもう寝られそうにない。
…ジンって工藤から聞いた名前だ。黒の組織の幹部。
やっぱり昨日の降谷さんは組織の任務後だったのだ。そして明後日の夜にジンという幹部に会うのだろう。
『私に、できること…』
まだ体温が残るシーツをなぞって、小さく息を漏らした。
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紅个 - 面白いです! 頑張ってください。 (7月18日 9時) (レス) @page2 id: 5d6bcaafb9 (このIDを非表示/違反報告)
紅狐 - ◎ (7月18日 9時) (レス) @page2 id: 5d6bcaafb9 (このIDを非表示/違反報告)
紅湖 - 面白い (7月18日 9時) (レス) @page2 id: 5d6bcaafb9 (このIDを非表示/違反報告)
カルビ(プロフ) - はい!降谷さん格好よく書けてます!!大好きです!!良かったらボードで話しませんか?降谷さん語りましょう!! (2019年4月8日 16時) (レス) id: 36c4c5cb96 (このIDを非表示/違反報告)
立夏(プロフ) - 1さん» ありがとうございますー!続編でも頑張りますね!よろしくお願いします! (2019年4月5日 21時) (レス) id: 4a977019e9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:立夏 | 作成日時:2019年3月3日 21時