検索窓
今日:92 hit、昨日:371 hit、合計:945,519 hit

18 ページ19

聞き覚えのない携帯の着信音で目が覚めた。

隣で彼が体を起こし、布団がズレて寒さに身を縮ませる。

まだ少し眠いけれど、うっすらと目を開けて彼の背を捉えた。

降谷さんはベッドから下り、鳴り続ける携帯の通話ボタンを押した。


「…はい。…ええ、上手く行きましたよ。問題ありません」


いつもと雰囲気の違う声に、相手がどういう人物なのかをなんとなく察する。


「例のものならベルモットに……え?あぁ、そうですね、それならその時に」

まだあまり回らない頭で、その声を聞いていた。


「では明後日の夜10時でいいですね──ジン」


彼はその言葉を最後に通話を切る。

もう動いても大丈夫だろうか。目を擦って体を起こし、ベッドの上に座った。

降谷さんがこっちに気がついて振り返る。

そして、何故かなんとも言いがたい表情を浮かべた。


「お前なぁ…成人男性の隣で当たり前のように寝るのやめろって何度言えば…」

『…え?別にいいじゃないですか、セミダブルなんだし』

「もうちょっと男に対して警戒を…俺だからよかったものの」

『そうですよ、降谷さんにしかしないです』


グッと伸びをすれば、降谷さんはため息をつく。

どうでもいいじゃないですかこんなこと。それよりも…


『お体の具合は?』

「あぁ、もう大丈夫だ」

『それなら良かった』

「昨夜は悪かったな、ありがとう」


頭の上に手が置かれる。

そうは言ってもまだ本調子じゃないのだろうけど、彼は時計を見ながら衣服を正す。

当然今日も仕事なんだろう。無理しないで、なんて言葉は私には言えない。

ベッドから下り、机の上に置いていたUSBを手に取った。


『頼まれていたことは全部終わらせました』

「あぁ、ありがとう。まだ時間あるから朝ごはん作っていってやるよ、何がいい?」

『…フレンチトースト』

「はいはい、仰せのままに。あ、シャワー貸してくれ」

『どーぞ』


部屋から出ていく降谷さんの背中を見つめ、時刻を確認した。

6時前か…今日は学校だけど、登校時間まではまだ余裕がある。

昨日寝るの遅かったし、降谷さんがシャワー浴び終わるまで寝てようかな。

そう思ったが、1度目が覚めてしまえばもう寝られそうにない。


…ジンって工藤から聞いた名前だ。黒の組織の幹部。

やっぱり昨日の降谷さんは組織の任務後だったのだ。そして明後日の夜にジンという幹部に会うのだろう。


『私に、できること…』

まだ体温が残るシーツをなぞって、小さく息を漏らした。

19:フォンダンショコラ→←17



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (616 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
1502人がお気に入り
設定タグ:名探偵コナン , 降谷零 , 安室透   
作品ジャンル:恋愛
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

紅个 - 面白いです! 頑張ってください。 (7月18日 9時) (レス) @page2 id: 5d6bcaafb9 (このIDを非表示/違反報告)
紅狐 - ◎ (7月18日 9時) (レス) @page2 id: 5d6bcaafb9 (このIDを非表示/違反報告)
紅湖 - 面白い (7月18日 9時) (レス) @page2 id: 5d6bcaafb9 (このIDを非表示/違反報告)
カルビ(プロフ) - はい!降谷さん格好よく書けてます!!大好きです!!良かったらボードで話しませんか?降谷さん語りましょう!! (2019年4月8日 16時) (レス) id: 36c4c5cb96 (このIDを非表示/違反報告)
立夏(プロフ) - 1さん» ありがとうございますー!続編でも頑張りますね!よろしくお願いします! (2019年4月5日 21時) (レス) id: 4a977019e9 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:立夏 | 作成日時:2019年3月3日 21時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。