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14:プレッツェル ページ15

Aside


陽射しが肌を刺す学校の屋上。

昼休み真っ只中のそこで、私は携帯片手に1人でパソコンを開いていた。


『じゃあその監視カメラの映像を消しておけばいいんですね?』

「ああ、できそうか?」

『ええ、余裕です』


電話の向こうの降谷さんにそう返す。

4限目が終わった瞬間に連絡が来たと思えば緊急の依頼。

通話中の携帯にイヤホンを繋ぎ、彼の指示を聞きながら作業を続ける。

こんなの糖分がないとやってられない。
ポケットの中のロリポップを咥えてキーボードを叩く。

うーん…これは結構時間かかるかもなぁ…

そうぼやいた私に、イヤホンから声が聞こえた。


「昼休み何時まで?」

『あと30分ですけど…いいですよ、5時間目サボります』

「いやいやダメだぞちゃんと出ろよ」

『高校の授業なんか出ても出なくても変わんないですよ、わかりきったことしか言わないし』

「それはそうだろうけど…でも許さないからな、Aの学生生活にまで支障をきたしたくはない」

『えぇー…』


まったく、真面目というかなんというか…

ため息をついてロリポップを噛み砕く。

そんなことを言われたら仕方ない。


『わかりましたよ、それじゃあ残り時間でなんとかします』

「ああ、悪いな」

『これはもうリッツのアフタヌーンティーくらい奢ってもらいますからね!』

「別にいいよ」

『えっ、いいんですか…?』


冗談のつもりだったのになんの躊躇いもなく承諾されて一瞬手を止めてしまった。

流石にそんなお高いものを奢ってもらうのは気が引けると思ったけれど、これは子供の感覚なのだろうか。


「正直Aの働きを考えれば普段奢ってるものが安すぎるくらいだから全く問題ない。お前もっと高いもの言ったっていいんだぞ」

『まじですか…?』


いや、報酬目当てでやってるわけではないからこれ以上高いものをせびろうとは思わないけど。

甘いものが好きなのは本当だけど、それを要求するのは単に降谷さんと食べに行きたいからだ。

小日向邸に住まない代わりに十分すぎるお金は貰っているし、ご褒美を貰えるなら短くていいから降谷さんとの時間がいい。


考えときますね、なんて適当に返してエンターキーを押す。

ちょうどその時、屋上へ続く階段を誰かが上ってくる足音が聞こえた。


『すみません、人が来ました。場所を変えるので3分待ってください』

「わかった」


鉄のドアが開かれる。

屋上へと足を踏み出したのは、同じクラスの毛利さんだった。

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設定タグ:名探偵コナン , 降谷零 , 安室透   
作品ジャンル:恋愛
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紅个 - 面白いです! 頑張ってください。 (7月18日 9時) (レス) @page2 id: 5d6bcaafb9 (このIDを非表示/違反報告)
紅狐 - ◎ (7月18日 9時) (レス) @page2 id: 5d6bcaafb9 (このIDを非表示/違反報告)
紅湖 - 面白い (7月18日 9時) (レス) @page2 id: 5d6bcaafb9 (このIDを非表示/違反報告)
カルビ(プロフ) - はい!降谷さん格好よく書けてます!!大好きです!!良かったらボードで話しませんか?降谷さん語りましょう!! (2019年4月8日 16時) (レス) id: 36c4c5cb96 (このIDを非表示/違反報告)
立夏(プロフ) - 1さん» ありがとうございますー!続編でも頑張りますね!よろしくお願いします! (2019年4月5日 21時) (レス) id: 4a977019e9 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:立夏 | 作成日時:2019年3月3日 21時

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