41 ページ42
まさかここでポアロの店員さんの名前が出るとは思わなかったのだろう。
安室さんを知っている3人は目を点にして私を見た。
…まずい。言ったはいいけどこの先のことを考えてなかった。
案の定、ハッと意識を取り戻した世良さんが突っ込んでくる。
「なんで安室さんに?」
『だ、だって電話かかってきたから…』
「安室さんとキミはただの喫茶店の店員と客の関係だろう?」
『それは…!そう、だけど、』
「それならなんで急に電話がかかってきたりするんだい?」
後から考えれば、こんな質問に答える義理はなかったのだ。
電話の用件なんて事件には関係ない。プライベートなことだからと跳ね除けて、アリバイだけ固めればよかった。
それなのに私は饒舌な探偵さんに流され、頭の中で余計な嘘を構築して、そのまま叫んでしまった。
『つ、つつつつ付き合ってるから!!!!!』
「え」
「え」
「え」
『あ』
しん…と沈黙が流れる。
瞬いた翡翠の瞳に、やってしまったと後悔の波が襲ってくる。
次の瞬間、鈴木さんと蘭ちゃんが一気に私に詰め寄ってきた。
「え!?安室さんとAちゃんって付き合ってたの!?」
「聞いてないわよそんなの!!でも確かになんか仲良さげにしてるとは思ってたのよね〜!!」
「ほ、本当に付き合ってるのか?安室さんと…!?」
『………あはは』
ごめんなさい降谷さん。許して下さい。
呪うなら私のコミュ障を呪って下さい。同年代と絡んでこなかった弊害です。
不意を打たれたように目を白黒させている世良さんが、私のポケットを指さして言う。
「とりあえず安室さんに確認を取っても…?」
『あ、うん』
数人しかいない連絡帳から降谷さんに電話をかける。
言われた通りにスピーカーにして少し待てば、彼はすぐに出てくれた。
「A?どうかした…」
「「きゃー!呼び捨てにしてる〜!!」」
「え」
いきなりの黄色い声に、珍しく素っ頓狂な声を上げる降谷さん。
とにかく何か不都合なことを言われる前に状況だけでも伝えないと…!
そう思った私は誰かがなにかを言う前に電話に向かって言った。
『ご、ごめんなさい!あの!!付き合ってることばらしちゃって!!!』
「付き合っ………」
一瞬の間。
しかし、降谷さんからすればその一瞬は必要なことを理解するには十分だったのだろう。
次に聞こえたのは、安室透の声だった。
「いえ、大丈夫ですよ。なにかあったんですか?」
1497人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「名探偵コナン」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
紅个 - 面白いです! 頑張ってください。 (7月18日 9時) (レス) @page2 id: 5d6bcaafb9 (このIDを非表示/違反報告)
紅狐 - ◎ (7月18日 9時) (レス) @page2 id: 5d6bcaafb9 (このIDを非表示/違反報告)
紅湖 - 面白い (7月18日 9時) (レス) @page2 id: 5d6bcaafb9 (このIDを非表示/違反報告)
カルビ(プロフ) - はい!降谷さん格好よく書けてます!!大好きです!!良かったらボードで話しませんか?降谷さん語りましょう!! (2019年4月8日 16時) (レス) id: 36c4c5cb96 (このIDを非表示/違反報告)
立夏(プロフ) - 1さん» ありがとうございますー!続編でも頑張りますね!よろしくお願いします! (2019年4月5日 21時) (レス) id: 4a977019e9 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:立夏 | 作成日時:2019年3月3日 21時