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03:マドレーヌ ページ3

目が覚めた時、自分の部屋のものではない天井に一瞬思考が停止した。

寝起きの回らない頭でも、すぐにここがAの部屋であることを思い出す。


あぁそうだ。『寝不足ならそこで寝てて下さい。あとは私が片付けますから』ってAにベッドに押し込まれたのだ。


今の時間を確かめようと思って首を傾けて、そこでまたもや思考はストップする。

……なんで成人男性の真横で寝てるんだこのJKは。

こんなことになるだろうと思ったからソファで寝るって言ったのに。

起こさないように静かにベッドから降りて、彼女に布団を掛け直した。



Aは東都内の高層マンションの最上階で一人暮らしをしている。

彼女の両親は既にこの世にいない。

そしてAを引き取った彼女の親戚は、かなり大きな企業グループのトップだった。


とはいっても、関係はあまりうまくいってらしく。

追い払われるような形で一人暮らしを始めたのは中学の時だと知った時は流石に驚いた。


けれど、おかげで彼女とのコンタクトは取りやすい。

なにかを頼む時は大抵彼女の部屋で、だった。



時刻は朝5時。

無駄にでかいモニターを起動させる。

最後まで纏められた情報に目を通しながらUSBを挿す。

と、その時、後ろからドンッとなにかにぶつかられた。…起きたのか。


『おはよーございます…』

「おはよ、お前何時に寝た?」

『4時…』

「もうちょっと寝てろよ、今日学校ないんだろ」

『んー…』


眠そうに唸ったAは、俺の背中に預けていた頭を持ち上げてマウスに手を伸ばす。


『この前言われたやつもついでに仕上げたんです、持ってって下さい』

「え?もう終わったのか」

『降谷さんちゃんと寝れました?』

「あぁ、寝たよ。ありがとう」


それは良かった、と緩い笑顔で言う彼女の頭を撫でる。

そしてゴミ箱に突っ込まれたカップ麺の容器を見ながら言った。


「キッチン借りるぞ、朝ごはん作っとくから起きたらちゃんと食べろよ」

『はぁい、降谷さん今日ポアロいます?』

「今日は昼から」

『じゃあ後で行きます、昨晩のお礼にパフェ奢って下さいね』

「はいはい…ってここで寝るなよ!ベッド行け!」


俺にもたれかかったまま眠りの世界へ飛んだ彼女の頬をつねる。

嘘だろ起きない。いや、そりゃ明け方まで作業させたのはこっちだけど。

軽く頬を叩いても起きない。…仕方ない。

小さくため息を零し、細い体を抱え上げてベッドまで向かった。

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設定タグ:名探偵コナン , 降谷零 , 安室透   
作品ジャンル:恋愛
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紅个 - 面白いです! 頑張ってください。 (7月18日 9時) (レス) @page2 id: 5d6bcaafb9 (このIDを非表示/違反報告)
紅狐 - ◎ (7月18日 9時) (レス) @page2 id: 5d6bcaafb9 (このIDを非表示/違反報告)
紅湖 - 面白い (7月18日 9時) (レス) @page2 id: 5d6bcaafb9 (このIDを非表示/違反報告)
カルビ(プロフ) - はい!降谷さん格好よく書けてます!!大好きです!!良かったらボードで話しませんか?降谷さん語りましょう!! (2019年4月8日 16時) (レス) id: 36c4c5cb96 (このIDを非表示/違反報告)
立夏(プロフ) - 1さん» ありがとうございますー!続編でも頑張りますね!よろしくお願いします! (2019年4月5日 21時) (レス) id: 4a977019e9 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:立夏 | 作成日時:2019年3月3日 21時

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