顔が良ければ全て良しだと思うなよ！！ ２【降谷零/安室透】

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大量に積まれて肉の山が出来た皿を前に、なんともいえない気持ちになる。

あんだけ取り合ってたくせに俺に対してはこれだもんなぁ…


ほんと、喧嘩するほど仲がいいとは全くもってその通りである。

本人達の前で言ったらめちゃくちゃ怒られたからもう言わないけど。こいつら揃って照れ隠しがうるさすぎるんだよな。


明らかに両想いだし、しかも当人達もそれをわかっているというなんとも奇妙な状態だ。

なにをちんたらしてるのか、さっさと告ればいいのに、ゼロは｢そのうちちゃんと伝えるさ｣と暢気に言っている。

ったく…こんな美人、早く捕まえなきゃ知らないぞ。

…ま、彼女に限ってゼロ以外に惚れるなんてありえないだろうとは思うけど。


どうやら肉は一旦休憩らしく、２人は仲良くビビンバを頬張っている。



｢俺が作ったビビンバの方がうまいな｣

『はい出ました降谷さんの手料理自慢大会〜』

｢ほんっと失礼な奴だな。今度食わせてやろうか｣

『降谷さんって料理上手な姑みたいですよね。“私が作った方が美味しいわね”って言うやつ』

｢いやでもゼロのビビンバはまじでうまいぞ、お前も食ってみろ｣

『えぇ〜景光さんってばまさか“お袋の料理の方がうまいな”って言っちゃう旦那タイプ？』

｢そんなわけないだろ巻き込まないでくれ！！｣

｢なんだよお前、俺のビビンバ食べたくないのか？｣

『食べます食べます頂きます。明日降谷さんの家行きますね』



えっっっ家まで行き来するような仲なの？いつの間に？？

声にも顔にも出さないが流石にびびった。なんでまだ付き合ってないんだこいつら。


彼女とゼロがこんなふうな会話を交わすようになった発端は今でもよく覚えている。

それはもうなかなかに強烈だった。


『は！？特訓！？私が弱すぎるから！？嘘でしょ何言ってんですか！？』


空気が凍りついた。

一気に気温が氷点下まで下がった。

続いて聞こえたゼロの｢はぁ？｣という声の低さは尋常じゃなかった。

それでも１歩も引かなかった結果が…


『よく考えたらゴリラが料理してるってめっちゃおもろいっすね、ほんわかゴリラじゃん』

｢殴られたいなら素直にそう言ったらどうだ｣

『降谷さんバナナシャーベットありますよ』

｢本気でシバくぞ｣


…これである。

よくもまぁ飽きないものだ。

けど、ゼロにもここまでバカみたいないい争いが出来る女の子が現れてくれてよかったな、と密かに思った。


この子ならきっと、大丈夫だろうと。

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