048:アカネ ページ2
コナンside
次の日。俺はお客さんが誰もいないポアロに来ていた。
目的はただ1つ。安室さんに話を聞くこと。
話っていうのは、もちろん恋バナ…っていうと薄っぺらく聞こえてしまうけど、Aさんのことだ。
初めはここまで首を突っ込む気はなかった。
本人達の問題だし、Aさんに聞いて答えてもらえなかったら潔く引こうと思っていた。
でもそういうわけにはいかなくなった。
“好きなら好きって言って、それでハッピーエンドで終わるような単純な世の中じゃないの”
半ば諦めたようにそう言った彼女にほんの少し前までの自分を重ねてしまった。
理由はまだわからないけれど、両思いなのに付き合わない2人のために何かをしたいと思った。
ハッピーエンドを迎えてほしいと、素直に思った。
カウンター席の前でアイスコーヒーを作っている安室さんをチラリと見る。
少ししてから、自分の目の前にそのコーヒーが置かれた。
お礼を言って受け取る。
すると彼は一息つき、食器洗いを始めながら言った。
「…で、なにか話でもあるのかい?」
「えっ」
「さっきから見すぎだよ。それに人のいないこんな時間にわざわざ来たってことは、聞きたいことでもあったんじゃないか?」
「あ、うん」
バレバレだったらしい。
安室さんは水を止めて顔を上げる。
どうやら話を聞いてくれるらしい。
俺はアイスコーヒーを一口含んでから、ゆっくりと口を開いた。
「…Aさんの、ことなんだけど…」
「………っえ、A?」
「うん」
流石にその返事は想定してなかったと言いたげに安室さんが目をぱちくりさせる。
そんな彼に、俺はAさんの時と同じように尋ねた。
「どうしてAさんと付き合わないのかなって…」
「………」
安室さんは呆気に取られたように目を丸くしたまま。
そこへ更に質問を投げかけた。
「安室さん、Aさんのこと好きなんでしょ?」
「えっ……いや、えっと、」
視線が行ったり来たりを繰り返す。
やっぱり2人とも話題が恋愛になった瞬間わかりやすすぎる。
安室さんは顎に手を当てて少し唸ってから、控えめに頷いた。
「……うん、まぁ、そうだね」
「……」
…この人めっちゃ照れるじゃん…
耳だけ超赤いよ…ガチで隠す気ないでしょ…それでいいのか公安警察。
本当に男子高校生相手に恋バナしてる気分になってきて、いやいやと首を振りブラックコーヒーを飲んだ。
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びびか(プロフ) - この作品の作り込みが凄すぎて本当に好きです。。素敵な作品に出会えて良かったです!ありがとうございました! (2023年3月27日 20時) (レス) @page32 id: b527a1d6e3 (このIDを非表示/違反報告)
わか - 想像するだけでこっちが照れてくる (2021年12月7日 15時) (レス) @page30 id: 9e519c38d5 (このIDを非表示/違反報告)
よる - ほぉ…これが降谷さんとの至高の領域だな???ちょっと最上級の語彙力調達してきますね?手持ちの語彙じゃこの素晴らしさは語れないので!!!! (2021年4月30日 23時) (レス) id: 6e0ab3a00d (このIDを非表示/違反報告)
立夏(プロフ) - あむむさん» 完結してからしばらく経ってるのに見つけてくれてありがとうございます…!!そんなに褒めて頂けるなんて嬉しすぎて私の心臓が取れます…!25機も消失してご無事ですか!?笑 最後まで読んで下さりありがとうございました!! (2018年11月9日 17時) (レス) id: 0fab2bc529 (このIDを非表示/違反報告)
あむむ - 初めまして。どうにもこうにも我慢出来なくてコメント失礼します!泣きましたキュンキュンしました心臓取れました辛すぎましたその文章力に脱帽しました!25機くらいは消滅しました…!完結おめでとうございます。お疲れ様でした! (2018年11月8日 21時) (レス) id: eaf01be664 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:立夏 | 作成日時:2018年9月21日 21時