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私は廉くんが好きだ──。
｢健人さん、私···｣
｢うん。ちゃんと伝えておいで。
大丈夫。
もし彼に泣かされたらいつでも僕のところにおいで。
僕はいつでもAちゃんの味方だよ｣
なんて、心強い人なんだろう···。
健人さんの言葉に
止まっていたはずの涙が
また流れてしまいそうになる。
けれど、今ここで泣くのは違うと思い
ぐっと我慢した。
ちゃんと、自分の気持ちを伝えよう。
廉くんに、ちゃんと···向き合うんだ。
｢健人さん、本当にありがとうございました｣
｢ははっ、僕は何もしてないよ。
もしかして、敵に塩を送るようなことしちゃった？｣
｢え？｣
｢いや、何でもない。
2人が上手くいくように祈ってるよ｣
その言葉に、笑顔を返して頷いた時だった。
ポケットの中の携帯が震える。
···誰だろう？
携帯を取り出して画面を見ると一通のメッセージ。
それは廉くんからのもので···。
廉今日先に帰ってて。危ないから女性専用車両の電車に乗れよ
···っ、
帰れない、か···。
｢どうしたの？｣
｢あ、いえ···｣
曖昧な返事をすれば、ん？と聞き返される。
｢えっと、今日は一緒に帰れないって···廉くんから···｣
｢···そっか。じゃあ今日は僕と帰ろう？｣
健人さんと？
｢私は全然大丈夫ですけど···
健人さん電車通学ですか？｣
｢ちょっと違うかな。けど問題ないよ。
授業が終わったら迎えに行くから
待っててくれる？｣
問題ないってどういう意味だろう···？
頭の上にはてなマークを並べながらも
その時はそれ以上追求しなかった。
廉くんと一緒に帰れないのはすごくショックだけど
帰ったら、ちゃんと伝えよう。
私の気持ちを。
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作者名：なっちゃん
| 作成日時：2020年7月29日 19時
