永瀬くんは女の子が嫌い、らしい。

＊初めての恋。 ページ30

.


永瀬くんのことが好き。



今更気づいたってもう遅いのに。



私を抱きしめる永瀬くんの腕も、ほんのり香る柔軟剤の優しい香りも。



今の私には辛いだけだった。



それに永瀬くんには他に好きな人がいる。





だったら‥‥





｢ダメだよ永瀬くん。‥‥私なんか抱きしめちゃ｣





私はもう永瀬くんの側にいちゃいけないんだ。



そして私は永瀬くんの腕を掴み距離を取った。






｢‥‥他に好きな人がいるんでしょ？だったら私なんかといたらダメだよ。好きな人に勘違いされてもいいの？｣





違う。



本当はそんなこと思ってない。







永瀬くんともっと話したかった。




この前食べそびれたアイスクリームだって、また一緒に食べに行きたかった。




永瀬くんの笑顔がもっと見たかった。






＿＿永瀬くんの好きな人に私がなりたかった。









｢‥‥初めて会った日も、一緒に出かけたときも、今日も‥‥。助けてくれて本当にありがとう｣




今までの感謝を込めて、私は頭を下げた。






.









今日で最後にするから。






｢好きな人と幸せになってね｣







泣きそうになるのをグッと堪えて。




私、ちゃんと笑えてるかな？






｢‥‥じゃあね、永瀬くん｣




そして、永瀬くんの前から去ろうとした。









でも＿＿＿









.






｢それ本気で言っとる？｣









出来なかった。





私の腕を掴む力強い手。




顔を上げれば、なぜか怒った顔をしている永瀬くん。






どうすればいいのか分からなかった。







永瀬くんが今何を思っているのか分からなかった。








そんな時だった。






.









.









｢好きな人に応援されたって全然嬉しくないんやけど｣

＊一つだけ。→←＊やっと気づいた気持ち。

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す