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lesson 38 ページ39

『……うそ』

「うそじゃないよ」


反射的に口にした言葉は、即座に否定された。

零ちゃんの瞳は真剣そのもの。

ほんとに?本当に、零ちゃんが、私のことを好きなの…?


「なんで気づかないかなぁ…」


そう言って零ちゃんは小さく笑う。

困ったような、それでいて幸せそうなその表情に思わず目を奪われる。



「いつからかなんてもう覚えてない。
でもずっとずっと好きだった。
Aのことをただの幼馴染だなんて思ってないよ」


涙で濡れた頬を零ちゃんの手がなぞった。

じゃあ、零ちゃんはずっと前から私を好きで、女の子として見てくれていて。

私はずっと、それに気づいてなかったわけで。



「キスだってAが好きだから言ったんだ。
俺がキスしたいって思うのはAだけだよ」

『……ほんと、に?』

「うん」


頬に添えられた零ちゃんの手に、私の手を重ねる。

あぁ、ダメだ。また涙が溢れてしまう。

せっかく止まってくれてたのに。

それでも、これだけは言わなきゃ。

流れる涙を拭わずに、私は零ちゃんの目を見た。



『零ちゃん』

「…なに?」


優しくて甘い大好きな声を聞きながら、コクンと唾を飲み込む。


『私もね、』

「うん」

『零ちゃんのこと好きだよ』

「…うん」



言い終わってから、えへへ、と笑った。

零ちゃんもそれに笑い返してくれる。


どちらともなく見つめあって、近づいて、唇が触れた。

あの日初めてした時みたいな触れるだけのキス。

数秒だけ重ねて、お互いが離れる。

そして私はあの時と同じように零ちゃんの名前を呼んで、同じことを口にした。



『…零ちゃん、顔真っ赤だよ』

「……うるさい」


言ったあとで、二人同時に吹き出した。

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設定タグ:名探偵コナン , 降谷零 , 安室透   
作品ジャンル:恋愛
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ふゆーれい(プロフ) - に、ニヤニヤが全くとまりませんでした…。あと隣の子から預かってた手紙を零に渡す所が何か辛かった()面白かったです!今更ですが、完結おめでとうございます! (2022年7月25日 22時) (レス) @page42 id: 5fc4c4d6bd (このIDを非表示/違反報告)
はろーきてぃ様。 - めっちゃ面白かったです!!さいこおお!がんばれえええ! (2022年5月27日 23時) (レス) @page42 id: 278a10c8d3 (このIDを非表示/違反報告)
よる - 告白しようとした美少女の性格が好きすぎる…めっちゃカッコいいから振られたとしても堂々としてそうだなぁ (2021年4月17日 13時) (レス) id: 6e0ab3a00d (このIDを非表示/違反報告)
mami - 完結お疲れ様です!凄く面白かったです! (2019年8月5日 5時) (レス) id: 3ba7cafabb (このIDを非表示/違反報告)
盛りそば。 - なにこれ……萌しかないじゃないですか…尊死(( (2019年7月21日 15時) (レス) id: 2b295a992e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:立夏 | 作成日時:2018年6月15日 21時

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