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lesson 03 ページ4

拗ねたように口を尖らせた零ちゃんに、ふふっと笑った。

可愛いなぁ、こういうところはずっと変わらない。


零ちゃんが不機嫌そうにこっちを向く。

にわかに手が伸びてきて、私の頬に添えられた。

その手つきがまるで大切なものを扱うように優しくて、少し戸惑った。



『…零ちゃん?』

「ごめん、もう1回」

『え』


私の返事を聞かずに、彼はもう1度私にキスをした。

今度はさっきみたいに先っぽだけじゃなくて、もっとしっかり零ちゃんの熱い唇が押し当てられる。


『………っ』



…え、やばい。なにこれ。

なんだか頭の中がビリビリする。

全身が蕩けそうで、こんなこと初めてで、ぶわっと一気に顔に熱が集まった。

真横で扇風機が回ってるはずなのに、暑い。どうしようもなく熱い。


すごく長く感じたけど、多分数秒のことだった。

零ちゃんはゆっくり私から離れた。



「……Aの顔も真っ赤だよ」

『ふぇ…な、なに今の…』


相変わらず顔は赤いものの悪戯っぽく笑う零ちゃんの袖を掴む。

もう片方の手で自分の唇をなぞった。

ついさっきまで、ここが零ちゃんに触れてた。


知らない。こんな感覚は知らない。

16年も生きてきたのに初めてだった。

甘くて、痺れて、クラクラして。



『……れーちゃん』

「ん?」

『キスって、思ってたより気持ちいいんだね』

「〜〜〜っ」


熱が引いてきていたはずの彼の頬がまた火がついたように赤くなる。



「お前……っバカ、そんな顔でそんなこと言うなよ!」

『へ?』

「バカ!ほんとバカ!」

『ええ?』


バカって三回も言った!ひどい!

ちょっと睨んでやろうと思ったが、零ちゃんはそっぽを向いてしまった。

耳まで真っ赤。

零ちゃんでもこんなに照れるんだなぁ…とそのまま見つめる。

すると、零ちゃんがこっちを見ずに小さな声で言った。



「………練習」

『ん?』

「……これからも、付き合ってくれる?」

『……うん、いいよ』



私と幼馴染がキスばかりするようになったのは、この日がきっかけだった。

この時の私は、恋人でもないのにキスをするというこの関係に、少しも疑問を抱かなかったのであった。

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設定タグ:名探偵コナン , 降谷零 , 安室透   
作品ジャンル:恋愛
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ふゆーれい(プロフ) - に、ニヤニヤが全くとまりませんでした…。あと隣の子から預かってた手紙を零に渡す所が何か辛かった()面白かったです!今更ですが、完結おめでとうございます! (2022年7月25日 22時) (レス) @page42 id: 5fc4c4d6bd (このIDを非表示/違反報告)
はろーきてぃ様。 - めっちゃ面白かったです!!さいこおお!がんばれえええ! (2022年5月27日 23時) (レス) @page42 id: 278a10c8d3 (このIDを非表示/違反報告)
よる - 告白しようとした美少女の性格が好きすぎる…めっちゃカッコいいから振られたとしても堂々としてそうだなぁ (2021年4月17日 13時) (レス) id: 6e0ab3a00d (このIDを非表示/違反報告)
mami - 完結お疲れ様です!凄く面白かったです! (2019年8月5日 5時) (レス) id: 3ba7cafabb (このIDを非表示/違反報告)
盛りそば。 - なにこれ……萌しかないじゃないですか…尊死(( (2019年7月21日 15時) (レス) id: 2b295a992e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:立夏 | 作成日時:2018年6月15日 21時

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