30話 ページ32
「ベルモットに会ったぁ!?」
『はい!ベルってば降谷さんに変装してきたんですよ!びっくりしました!』
にわか雨の中を走ってきたらしいAはそう言いながらぷるぷるっと首を振って水滴を飛ばす。
おかげでこっちにまでびしゃっと雨水が飛んできた。
「……」
『うわっすみません!』
「いやいいけど…この前道端の犬にも同じことされたなと思って…」
ってそんなことはどうでもいい。
今ベルって呼んだか?随分親しげじゃないか。まさかこいつ…
「ベルモットに会ったことあったのか?」
『え?はい。ベルとは組織にいた頃に何度か』
キョトンとして答えるA。
嘘だろ。だって俺がベルモットにシャトーを知ってるか聞いた時は「見たこともないわね」とか言ってたぞ。
ベルモットに頼んでシャトーに会えれば手っ取り早いと思って尋ねた結果がそれで、そんなに甘くはいかないかと他を当たったのに。
「あんのババア…ホラ吹いてやがったな…」
『ば、ばばあ?』
ポーラーに口止めされてたんだろうけど、もう少し粘れば最短ルートで会えていたかもしれない事実に思わず舌打ちをした。
俺がシャトーに会うためにどれだけ探し回ったか知らないAは不思議そうに目を瞬かせている。
…まぁ、今はこうして一緒にいられるからもういいけど。
そう思って小さくため息をついたところで、Aが当然『あっ』と思い出したように手を打った。
『そういえばベルから伝言が』
「伝言?」
そこで何故か彼女は少し言い淀む。
そして躊躇いがちに口を開いた。
『“私のシャトーを泣かせたら許さないわよ”って』
「…はぁ?」
『わ、私を睨まないで下さいよ!本当にそう言ったんですから!“あなたは私の可愛いprincessなんだから”って!』
「誰がprincessだって?」
『だからベルが言ったんですって!柄じゃないことくらい私の方がわかってます!!』
Aは慌てて手をパタパタしながら弁解する。
違う、プリンセスがどうこうとか問題じゃないんだ。
「Aは俺のだろ。何言ってんだベルモットのやつ」
『…っえ?あ、そこですか?』
「公安の奴らも“俺たちのAちゃん”とか言ってるし、どいつもこいつも…お前好かれすぎじゃないか?俺のだってわかってるのか?」
『あ、う…はい…』
煮え切らない返事に彼女の方を見れば頬が真っ赤に染まっていた。
…なんかすごい失言した気がする。
Aの熱がこっちに移って、黙って目を逸らした。
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立夏(プロフ) - 利茄さん» ありがとうございます! (2020年4月23日 0時) (レス) id: 4a977019e9 (このIDを非表示/違反報告)
利茄 - 面白い! 青井と犬子は、吹きましたww もう、最高ぉーーーー! もし、よかったら、私のも、読んで 下さい! (まだ、完成してないけど) www (2020年4月22日 0時) (レス) id: 1a3e36626c (このIDを非表示/違反報告)
立夏(プロフ) - りーぬ@天使が尊いさん» ありがとうございます!!犬井犬子のくだりの時はたまたまポアロの近くを歩いてただけなので行ってないですよ〜! (2020年4月8日 20時) (レス) id: 4a977019e9 (このIDを非表示/違反報告)
りーぬ@天使が尊い(プロフ) - すっっっっっっっごくおもしろかったです!!!!!31話で主人公ちゃんがポアロに行ったことないって言ってるんですけど犬井犬子のくだりのときに行ってませんでしたっけ??思違いならすみません(((^^;) (2020年4月8日 16時) (レス) id: 181f09b6df (このIDを非表示/違反報告)
立夏(プロフ) - 立冬さん» お前wwwwありがとうございます!!!ww (2019年2月6日 17時) (レス) id: 4a977019e9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:立夏 | 作成日時:2018年8月8日 22時